白鵬 逆転V残った!“天敵”稀勢の里を一蹴

[ 2012年1月19日 06:00 ]

<初場所11日目>稀勢の里(左)を押し出しで下し1敗を守った白鵬

初場所11日目

(1月18日 両国国技館)
 今場所最大の注目の一番は、白鵬が横綱の意地を見せた。“天敵”の新大関・稀勢の里を押し出して1敗を死守した。前日、鶴竜に土をつけられたものの、この日朝に新しい化粧まわしが届いたこともあり気分を一新。逆転優勝へ踏みとどまった。大関・把瑠都は日馬富士を押し倒して、自身初の初日から11連勝。2敗は稀勢の里と栃煌山の2人となった。

 優勝戦線生き残りをかけた大一番で、21回の優勝を誇る白鵬が真価を発揮した。立ち合いで踏み込んで右差しを狙った。しかし新大関の左おっつけに阻まれると、すぐに切り替えた。得意の形にこだわらず、相手の右突き手を両手で抱えて体勢を崩させ、両はず(両手で相手の脇を押すこと)で一気に土俵外へ押し出した。取組後は「特に狙いはない。右を差せなかった。(腕を抱えたのは)流れで。あとは出るしかない」。臨機応変の立ち回りを事もなげに振り返った。

 前日10日目の鶴竜戦で完敗した。一夜明けたこの日朝、まるで「逆転優勝を目指せ」というゲキであるかのように待ち望んでいた化粧まわしが部屋に届けられた。

 首都圏の後援者約50人で構成する「白鵬関を励ます会」から贈呈されたもので銀色地の前垂れの中央には、縦横約30センチの八角形の鏡がはめ込まれている。銀や銅などの合金製で、磨き上げられた表面はまぶしい光を放つ。製作者の日下ひょう介氏によると、第22代横綱・太刀山、第27代横綱・栃木山が、花の彫金を施した銅板を使用した例があるものの鏡を使ったものは初めてという。「横綱は全力士の頂点。吸収するものは吸収して(角界を)照らしていきたい」という思いを表現したデザインだ。太刀持ち、露払いのものは“ご神体”の鏡を守る仁王像の図柄を取り入れた。

 白鵬は「うれしい。黒星を忘れて一生懸命にやるだけ」と奮起を約束した。初黒星のショックを乗り越えて、過去1年で3勝2敗と苦戦していた稀勢の里を一蹴した。

 結び直前の取組で把瑠都が全勝キープ。依然として1差で追いかける状況は変わらないが、一人横綱として孤独な戦いを続けてきた白鵬はこの“苦境”を楽しんでいる。「久しぶりに追う立場。こんなに気楽なものかな。勝ち進むだけ?それしかない」。把瑠都との直接対決が残されており、まだ射程圏内にいる。重圧から解放された横綱が虎視たんたんと逆襲を狙っている。

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2012年1月19日のニュース