粘り腰と全力相撲手本に…鶴竜“貴ノ花になる”

[ 2011年8月17日 06:00 ]

稽古後に秋場所への抱負を語る鶴竜

 大相撲の秋場所(9月11日初日、両国国技館)で初の大関獲りに挑む関脇・鶴竜(26=井筒部屋)が初代・貴ノ花(元大関、享年55)の敢闘精神を胸に勝負の場所に臨むことを誓った。16日に都内の井筒部屋で行った稽古後に目指すべき力士像として貴ノ花を挙げた。最後まで諦めない相撲で人気を誇ったかつての名大関を見習い、26歳の大関候補が記憶に残る力士を目指す。

 子犬のような童顔をぐっと引き締めて、大関獲りに挑む鶴竜が目標の力士の名前を明かした。「初代の貴ノ花さんは小さい体であれだけ大関を張った。粘り強い力士の相撲は見に来た人が喜んでくれる」。主に70年代に活躍し、大関を50場所務めた貴ノ花は体重100キロ強と軽量ながら柔軟な足腰を持ち、常に全力を出し切る相撲で絶大な人気を誇った。鶴竜自身も体格は決して大きな方ではない。勝負の場所を前に自らが目指すべき理想像を見つけた。

 これまでに技能賞を6度も獲得している技巧派の鶴竜は、名力士の映像をDVDなどで確認することが日課。もろ差しを得意とした師匠の井筒親方(元関脇・逆鉾)に加え、過去の横綱、大関の取り口からさまざまな技術を盗んできた。そんな中で貴ノ花の相撲を見た瞬間、電気が走った。「ああいう最後まで諦めないという相撲を取りたい」。ファンの心を揺さぶるために、もっとも重要なのは強い精神力であることを痛感した。

 貴ノ花は70年九州場所で7勝8敗と負け越しながら、連日大熱戦で館内を盛り上げたことを理由に勧進元の福岡スポーツセンターから功労賞を贈られた。秋場所からは観客にマークシートを配布し、力士の敢闘精神を評価してもらう制度がスタート。票が集まった上位力士は連日発表される。それだけに鶴竜は「一生懸命相撲を取って評価されれば」と話した。最近2場所で計22勝を挙げており秋場所で11勝すれば大関昇進の目安「三役3場所33勝」に届くが、結果だけを求めるつもりはない。敢闘精神あふれる相撲で館内をわかせた上で大関昇進を手中に収める覚悟だ。

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2011年8月17日のニュース