琴奨菊5連勝 日本人4年ぶり新大関グイッ!

[ 2011年7月16日 06:00 ]

安美錦(右)を小手投げで破る琴奨菊

大相撲名古屋場所6日目

(7月15日 愛知県体育館)
 大関獲りの関脇・琴奨菊は平幕・安美錦にもろ差しを許しながら、右からの小手投げを決めて5連勝。1敗を守り、琴光喜以来となる4年ぶりの日本人新大関誕生にまた一歩前進した。横綱・白鵬は豪栄道を寄り切り、大関・日馬富士は旭天鵬を押し出し、ともに全勝をキープ。平幕の豊真将が敗れたため、全勝は2人となった。
【取組結果】

 鮮やかな逆転勝利で、琴奨菊が新大関に前進した。安美錦には3連勝中だったが、この日は心の隙を突かれたように、立ち合いでもろ差しを許した。だが、慌てずに両腕できめて、いったん動きを封じた。そこから意表を突くように体を開き、右小手投げで転がした。

 糸のように目を細くして支度部屋へ戻ると「良かった~。危なかったけど」と笑みを振りまいた。重い腰、圧力を生かしたがぶり寄りのイメージが強いが「小手投げもあるんですよ。狙ってるわけじゃないけど」と言葉にも余裕が出てきた。

 本来の自分を取り戻しての5連勝だ。初日は18勝4敗と合口の良かった豊ノ島に寄り切られ、まさかの黒星発進。重圧と焦りから、付け人と組んでのシミュレーションなど取組前のルーティンを普段通りにこなせなかった。いつもは着けない左肘のサポーターも大関獲りで「大事にいきたい」という心の表れだった。2日目以降は11、10勝を挙げた過去2場所と同じ準備運動をこなし、サポーターを外した。平常心を取り戻し、日を追うごとに調子を上げてきた。

 00年以降、18人が大関獲りに挑み、中日を6勝2敗以上で折り返した9人のうち、翌場所に持ち越しとなった02年初場所の琴光喜を除く8人が昇進を決めた。5勝1敗の琴奨菊は、データ的には2日で1勝すれば“当確”となる。

 今場所序盤の話題は大関・魁皇の通算最多勝記録だった。「自分のことのようにうれしい」と相撲を始めた小学生の頃から憧れた大関の活躍を喜んだ。40歳を目前にした魁皇が引退することになれば、日本人大関はいなくなる。辞めたくても辞められない郷土の先輩を快く送り出すためにも、琴奨菊は白星を重ね続ける。

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2011年7月16日のニュース