ゴール前ごぼう抜き!高平“男泣き”世界切符

[ 2011年6月12日 06:00 ]

1位でゴールした高平はナンバーワンポーズ

陸上日本選手権第2日

(6月11日 埼玉県・熊谷スポーツ文化公園陸上競技場)
 男女15種目で決勝が行われ、男子200メートルでは北京五輪400メートルリレーで銅メダルを獲得した高平慎士(26=富士通)が20秒49で2年ぶり5度目の優勝。参加標準記録Aを破り、世界選手権(8月、韓国・大邱)出場が内定した。女子100メートルでは福島千里(22=北海道ハイテクAC)が11秒39で2連覇。男子ハンマー投げは室伏広治(36=ミズノ)が17連覇を達成した。

 ゴール直後、高平は右手人さし指をメーンスタンドに向け、歓喜した。4番手で迎えた最後の直線で一気にライバルをごぼう抜きし、2年ぶり5度目のV。「いろんな背負うものがあって、築いてきたものを次につなぐ役目もあるし…」。そう言うと、こらえ切れず言葉を詰まらせた。

 北京五輪の400メートルリレーの銅メダルメンバー。だが、中心選手だった朝原さんが引退。末続は競技復帰未定で、塚原もケガで戦線離脱した。「走ることが楽しくなくなった」。一身で背負ったメダリストのプライドが、重圧に変わっていた。

 そんなとき、引退した朝原さんからメールが届いた。「大丈夫か?」の短い言葉が身に染みた。さらに、ジュニア代表で同じリレーメンバーにもなった友人の野田浩之さんが、今年1月に死去。「走りたかった彼の分まで」。現役として走れることの喜びに、気づかされた。

 「僕らが死んだ80年後ではなくて、もう1回メダルを獲らないと意味がない」。狙うのは個人種目のファイナル進出と、リレーのメダル。栄光もどん底も経験した26歳が、再び世界の舞台に立つ。

続きを表示

2011年6月12日のニュース