白鵬 笑顔なき7連覇…満員国技館で本音吐露

[ 2011年5月23日 06:00 ]

優勝インタビューで口を真一文字に結ぶ白鵬

大相撲技量審査場所千秋楽

(5月22日 両国国技館)
 一人横綱の白鵬が7場所連続19度目の優勝を果たした。結びで大関・魁皇に寄り切られて13勝2敗としたが、星1つの差で追っていた敢闘賞の栃ノ心が大関・日馬富士に敗れた時点で、朝青龍と並ぶ史上1位の7連覇が決定。無料一般開放という超異例の場所とあって心境は複雑だったが、角界の第一人者として底力を見せつけた。八百長問題の影響で通常の名古屋場所となるかどうかは不透明ながら、7月の次場所では前人未到の8連覇に挑むことになる。
【取組結果 星取表】

 優勝旗を受け取った白鵬に笑みはなかった。超異例の場所で史上最多タイの7連覇を達成。だが、横綱は優勝インタビューで「多少ピンとこないのもあった。自分の中で技量審査場所は納得いかなかった。そんな中で“準場所”という本場所に近い気持ちで臨んだ」と長く苦しい15日間を淡々と振り返った。それが、無料一般開放で満員となった国技館の土俵下で漏らした本音だった。

 2敗の栃ノ心が敗れたため出番前に19度目の優勝が決まったが、千秋楽の一番は白星で飾れなかった。魁皇に右上手を取られて攻め込まれると、6日目の安美錦戦で右膝を打撲した影響もあってズルズルと後退。昨年初場所以来となる1場所2敗を喫して「勝負は甘くない」と痛感した。

 2月2日に八百長問題が発覚。白鵬の心にも動揺が走ったが、自らを奮い立たせるものは相撲しかなかった。03年の幕下時代に部屋関係者を通じて知り合い、運動生理学の指導を受け続けてきた東海大学体育学部非常勤講師・内藤けんし氏(45)らとの共同研究で「本番で結果を残すために稽古・練習をどのように行うか」と題した全15ページにおよぶ論文製作に没頭。昨年初めから、取組映像を見ながらディスカッションを重ね、今年3月31日に東海大で発表された。

 その翌日の4月1日。理事会で八百長関与と認定された25人の力士らが角界を去った。2日後の4月3日に行われた力士会の臨時会合では、処分に反発するモンゴル出身力士から提案された“場所ボイコット”に一度は賛同。協会への不信感はぬぐえていないが「土俵の上で失ったものは土俵で戻す」と自らまとめた論文と再び向き合い、天皇賜杯もパレードも懸賞金もない異例の場所を迎えた。

 ただ、7連覇を達成しても白鵬の中にモヤモヤしたものは残ったままだ。「1人がそういうこと(八百長関与)になると、全体もそういう目で見られてもしょうがない。でも、あすがあるので、一生懸命頑張りたい」。失った信頼を取り戻すためにも、まずは前人未到の8連覇を成し遂げるしかない。

 ▼放駒理事長 7連覇はかなり安定していないとできることではない。(結びは)魁皇の攻めが速かった。魁皇が一番強いということか。

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2011年5月23日のニュース