腰など痛め…室伏が世界陸上欠場

[ 2009年8月12日 19:56 ]

 北京五輪の陸上男子ハンマー投げで繰り上がり銅メダルとなった室伏広治(34)=ミズノ=が腰や股関節の痛みで調整が遅れて体調が万全でないため、15日にベルリンで開幕する世界選手権を欠場することになった。日本選手団の高野進監督が12日、発表した。

 高野委員長によると、米国合宿中の室伏から11日に「痛みはなくなってきたが、準備不足でピークを合わせるには時間が足りない」と相談を受け、12日に再度話し合った上で出場を断念した。

 今季の室伏は開幕前から故障に苦しみ、5月末まで約4カ月間投げられない状態が続いた。6月の日本選手権で15連覇を果たしたが、記録は73メートル26と低調だった。
 1995年に世界選手権に初出場した室伏は、2001年に銀メダル、03年は銅メダルを獲得。05年は今回と同様、体調が万全でなく欠場した。

 ≪メダル争えないと判断≫室伏はぎりぎりまで出場の可能性を探った。慢性的な腰痛は快方に向かっていたというが、準備不足で、最終的にはメダル争いができないという判断が世界選手権欠場の決め手になった。
 今季はぎっくり腰と股関節の故障で調整が大幅に遅れ、父親の重信氏は「ドクターストップでジョギングもできず、米国の医師から手術も勧められた」と打ち明けた。金メダルに輝いた5年前のアテネ五輪以降は肉体が悲鳴を上げ、年齢的にもけがが治りにくくなった。練習を再開したのは5月下旬だった。
 日本選手権は制したが、「投てきの感覚を取り戻すには3、4カ月かかる」と話していた父の予想通り、米国合宿でもがき苦しんでも世界の上位を争うレベルの感覚は戻らなかった。高野強化委員長には「時間が足りない」と無念さをにじませたという。
 室伏は世界の第一線で長く戦い続けてきた肉体の「金属疲労」を認めている。「鉄人」は、集大成と位置付ける3年後のロンドン五輪までの道のりが険しいことをあらためて突きつけられた。

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2009年8月12日のニュース