×

二階元幹事長 次期衆院選、息子に“禅譲”で不出馬 自民裏金問題謝罪も…いらだち表明「ばかやろう」

[ 2024年3月26日 05:30 ]

 自民党の二階俊博元幹事長(85)=衆院和歌山3区=は25日、党本部で記者会見し、次期衆院選に立候補しない意向を表明した。自身が率いた二階派(志帥会)の政治資金パーティー裏金事件に関し謝罪。しかし、裏金事件の詳しい説明はしなかった。

 終始いらだった表情の二階氏。政界引退かと問われると「地元の皆さんが決めることだ」とひと言。高齢が理由かとの質問には「年齢の制限があるのか。お前もその年がくるんだよ」と記者を威嚇するように声を荒らげ、小声で「ばかやろう」と吐き捨てた。裏金事件や政治倫理審査会を巡る質問には、側近の林幹雄衆院議員が間髪いれず代理回答した。会見はわずか10分程度で打ち切られた。

 裏金事件で任意で事情聴取を受けた二階氏の不記載額は3526万円に上った。立件された議員を除けば最多で、党内からは二階氏の責任を問う声が上がっていた。このタイミングの不出馬表明は党による裏金関係議員の処分に先立ち、進退を判断した格好。裏には“宿敵封じ”が見え隠れする。

 自民は派閥の裏金事件で、安倍派の資金還流の対応を協議した幹部会合に出席した塩谷立元文部科学相ら4氏に「選挙での非公認」以上の処分を科す方向で調整している。二階氏処分で頭を悩ませていた岸田文雄首相にとって、今回の不出馬表明は安倍派幹部にけじめを求める大義になりそう。その安倍派幹部の一人が、二階氏と同じ和歌山県を地盤とし、衆院への鞍替えを狙っている世耕弘成前参院幹事長。3人の息子を後継者にしたい二階氏にとって世耕氏は邪魔な存在で、度々対立してきた。

 今回、世耕氏は裏金問題に加え、女性ダンサーが招かれていた自民党和歌山県連主催の懇親会に秘書が参加していたことも判明。実質鞍替えは不可能な状況となっている。政治評論家の伊藤惇夫氏は「不出馬表明した二階さんには逆に、選挙で非公認の処分は意味をなさない。地盤を息子に引き継ぐには、世耕さんが身動きが取れない今が絶好のタイミング」と“世耕封じ”を狙っての不出馬表明と分析した。

 自民党幹事長を歴代最長の5年超務め、金と票を握り権勢を誇った重鎮。会見で後継候補については言及せず「地元の判断に任せる」と述べるにとどめた。


 ≪当選13回“剛腕”≫ 二階氏は1939年生まれ、和歌山県出身。中大を卒業後、政治家秘書となり、75年から和歌山県議を務めた。83年に衆院選初当選。運輸相、経済産業相、党国対委員長、総務会長などを歴任した。93年、宮沢内閣不信任決議案に賛成した小沢一郎氏に同調、自民を離党し細川政権樹立に参画。保守党などを経て03年に自民へ復帰した。安倍政権で16年に幹事長に就き、歴代最長の5年超務めた。当選は13回。“剛腕”で知られ、独特の政局観を背景に節目節目で存在感を放ってきた。小池百合子都知事との盟友関係でも知られる。

続きを表示

「大谷翔平」特集記事

「騒動特集」特集記事

2024年3月26日のニュース