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女子W杯8強なでしこ スウェーデン戦分析 ライン上げて攻撃活性化、修正の経験はパリで生きる

[ 2023年8月13日 04:35 ]

<日本・スウェーデン>前半32分、先制点を決められたなでしこイレブンは、相手GKが喜びを爆発させる中で円陣をつくり話し合う(AP)
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 女子W杯オーストラリア・ニュージーランド大会で日本代表「なでしこジャパン」のメンバーは12日、帰国した。11日の準々決勝でスウェーデンに1―2で敗れたものの、低迷する日本女子サッカーに希望をともした今大会の収穫と課題は何か。「データスタジアム」でスウェーデン戦の苦戦の原因を浮き彫りにし、パリへの“宿題”を探った。

 スウェーデンはフィジカルに加え、技術、スピードもレベルが高く、開始から苦しい展開が続いた。日本はスペイン戦同様、強固な守備からカウンターを狙ったが、前線から激しいプレッシャーをかけられた上にパスコースもふさがれ、判断が遅れるとすぐさまボールを奪われた。DFを統率した熊谷の前半平均プレーライン(相手ゴールラインからの距離)は今大会で最も低い79・3メートル。自陣深くまで引き込んで守る形が、前半32分のFKからの失点となった。

 一方、ビハインドとなった後半は積極的に前線へと仕掛けた。今大会、攻撃の起点となっていたMF長谷川を例に取ると、前半はパス数25本に抑えられたが、プレー位置を高くした後半は両チーム最多の51本に倍増。ボールロストは今大会ワーストの14回と厳しいマークに苦しんだが、後半は攻撃陣を活性化させ42分には中央でパスを受けるとMF遠藤に展開、MF林のゴールへとつなげた。前半のシュート0から一転、後半はスウェーデンの総シュート数に並ぶ13本と猛攻を仕掛けた。PA内進入は前半5回から24回と大幅増。ラインを上げたことで、サイド攻撃の回数も増え多くのチャンスをつくった。

 相手の疲労や交代選手の活躍だけでなく、リスクを恐れずプレー位置を上げたことが奏功したのは間違いない。今大会のなでしこジャパンは相手を引き込んでのカウンターも、主導権を握るサッカーも一定の成果を見せた。スウェーデン戦後、池田監督は「修正に時間がかかった」と語っていたが、プランがうまくいかない時の対応力がパリ五輪での躍進のポイントとなりそうだ。

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