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【山雅の宿題】(3)ドリブラー不足、クロスに頼るも…

[ 2016年12月2日 10:00 ]

チーム唯一のドリブラー松本MF石原(手前)は奮闘したが…
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 今季は「自らアクションを起こす時間を増やしたい」(反町康治監督=52)と、ボールを保持しながら敵陣へ上がるポゼッションサッカーを戦術に追加した攻撃は一定の成果を上げた。データスタジアム調べの1試合平均値を見ると、14年のJ1初昇格時と比べボール支配率は45・1%から50・7%へと上昇。これに伴い、敵ペナルティーエリア(=PA)内でのプレー数は19・6回、シュート数も11・8回でともにリーグ2位。チャンス構築能力は高く、同3位タイの62得点を挙げた。

 その一方、好機をつくれど決定機を生かし切れないシーンが続いた。シュート枠内率は同19位の35・1%。勝ち点で並びながら18の得失点差をつけられた2位清水は同1位の43・9%とここで差がついた。

 これは局面を打開する選択肢が少なかったことに原因がある。反町監督は「今のシステムでドリブルが少ないのは、さみしい」とシーズン終盤に漏らしていた。1対1で相手と対峙(たいじ)し、ドリブルを試みた回数は1試合平均9・4回とリーグ20位で、成功率は42・5%でワースト。シーズン途中には昨季チーム4位の3得点を挙げたドリブラー・MF前田直輝(22=現J1横浜)の獲得を目指したが寸前で実現しなかった。

 そのため、最後まで敵陣深くではクロスに頼らざるを得なかった。その数はリーグ2位の多さとなり、敵はPA内を固めることで対策した。打ち破るため「メッシ(のようなドリブラー)がいればしない」とクロスの練習に力を入れ、空中戦要員として1メートル97の長身GKシュミットのフィールドプレーヤー用ユニホームをシーズン序盤から用意するなどあらゆる策を練った。それでも状況は変わらず。得点のおおよそ半分の30得点はセットプレー絡みで試合の流れからのゴールは少なかった。

 勝ち点84というクラブ史上最高の成績を出したシーズンを過去最大とも言える悔しさで終えた。成長の余地はまだまだある状況でJ1に上がっても、すぐに降格してしまえば意味はない。試練を乗り越えた先に松本のJ1定着、そして栄光が待っている。

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2016年12月2日のニュース