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“専スタ”で急上昇する長野のサッカー熱 J1でのダービーへ舞台整った

[ 2015年12月12日 10:15 ]

11月23日のJ3町田戦で、気迫あふれるプレーで攻撃を防ぐ長野DF陣

 光陰矢のごとし、とはこのことか。今年5月。W杯カナダ大会を控えるなでしこジャパンは国内での直前合宿を長野市で行った。同月28日のイタリアとの国際親善試合が行われた会場は、今年3月に改修されたばかりの「南長野運動公園総合球技場」。長野市が約80億円を投じて建てた収容約1万5000人のスタジアム。J3長野、なでしこリーグ長野の本拠地の変貌ぶりに驚きを隠せなかった。

 私が長野支局にいた13年時点では、南長野は収容6000人ほどの小さな会場だった。わずか2年で様変わりした。当時の座席は、ホームの一部を除いてほぼ芝生席。記者席といえば、芝生の上にベンチが置いてあるだけの“簡易席”で有名だった。記者室がないため取材道具以外は車に置き、トイレは会場の外。ワーキングスペースがないため、コンビニの駐車場で原稿を執筆したことも多かった。だからこそ、国際親善試合で流れる「FIFAアンセム」を南長野で聞いた時は、信じられない思いだった。しかも、2階の立派な記者席で。「こんな素晴らしい会場で試合ができて光栄」と佐々木監督は言い、大黒柱のMF澤(INAC神戸)らも「臨場感がある」と話していた。

 近年、長野県のサッカー熱は急上昇中だ。J3長野はJ2昇格を逃したが、なでしこリーグ2部を優勝した長野は1部昇格が決まった。五輪イヤーとなる来季、日テレやINAC神戸など日本代表クラスが所属するチームがやってくる。言わずと知れた人気クラブの松本も、残留こそかなわなかったが、初めて今季J1を戦った。その勢いを加速させているのが、南長野であり、松本の「松本平広域公園総合球技場」だ。フットボール専用スタジアムという素晴らしいハードがそろう点に尽きる。

 立派な“劇場”を持つ長野と松本の2クラブはくしくも、地域リーグ時代から「信州ダービー」と銘打ち、激闘を繰り広げてきた宿命のライバルだ。来季もJ3で戦う長野と、J2で再出発する松本。最速ではW杯イヤーの18年にも、J1でのダービーが実現する。うれしいことに、その舞台は整っている。 (大和 弘明)

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