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両者にあったCSのメリット、デメリット 来季以降も魅力的なJを

[ 2015年12月9日 08:27 ]

11年ぶりに復活したJ1のチャンピオンシップは年間1位の広島の優勝で幕を閉じた

 今後さまざまな議論がなされるだろう。11年ぶりに復活したJ1のチャンピオンシップ(CS)だ。もちろん、TV放映権などで収益がアップしたり、第2戦の視聴率が広島地区で30%を超えるなど効果があったことは事実だ。だが全員が満足な結果を手にしたかといえば、そうでもない。

 CS準決勝の浦和―G大阪(埼玉ス)では空席が目立ち、村井チェアマンは「告知の問題があった」と話し、中2日で行われたCS決勝の広島―G大阪は、視察したハリルホジッチ監督が「2チームとも疲労した状態だった」と過密日程に疑問を呈した。個人的にはJ2プレーオフとは違い、年間勝ち点の上位チームがドロー以上で勝利権を得られない制度は若干の“不公平”を感じる。

 では、実際にピッチでプレーした選手や監督はCS制度について、どう思っているのだろう。

 優勝した広島FW佐藤寿人は「プレッシャーでしかなかった」と安堵の表情を浮かべた。森保監督も「ここで負けていれば、レギュラーシーズンの戦いや選手の頑張りが次へのモチベーションになるのが難しい」と話した。広島の年間勝ち点は過去J1最高の「74」。対して年間3位から勝ち上がってきたG大阪は「63」だ。勝ち点「11」の差が、CS決勝の舞台で何のアドバンテージを持たないことを強調した。

 一方でG大阪の長谷川監督は、3位だからこそ感じ得たビハインドを口にした。「2位チームはホームで試合ができる。中3日、中2日で試合をした。(上位チームに)アドバンテージがないわけじゃない。(決勝の)広島も第2戦をホームでできる。引き分けOKだとサッカーが変わってしまう」。G大阪は11月28日に敵地で2位・浦和と戦い、そして12月2、5日に広島と戦った。心身ともに擦り減らす戦いを、実に8日間で3試合もこなさなければならない苦しさがあったという。

 同時にアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)と並行しながらのリーグ戦。長谷川監督は「リーグ優勝も目指していたが、なかなか両立は難しい。最大限レギュレーションを生かせればと思っていた」と明かした。CSのシステムを活用したからこそ、ACLに全力を注げた側面もあったようだ。“なるほど。そういう考え方もあるのか”と思わず頷いた。

 勝者と敗者の声を聞いたが、双方ともにメリット、デメリットはあると感じる。ただ最も大事なのは日本サッカー界の発展や強化であり、戦った者しか得られない経験談は貴重だ。集客や収益の問題も軽視するつもりはないが、それ以上に現場の声を多く取り入れ、来季以降も魅力的なJリーグをつくってほしい。(飯間 健)

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2015年12月9日のニュース