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武藤、アシスト&涙で旅立ち 恩返し誓う「しっかり結果を」

[ 2015年6月28日 05:30 ]

<FC東京・清水>サポーターを前にした武藤は涙

 武藤が惜別のアシストを決めた。ドイツ1部マインツに移籍するFC東京武藤嘉紀(22)はホームで行われた第1ステージ最終戦、清水戦で、後半15分、ドリブル突破からチーム2点目となる前田遼一(33)のゴールにつなげるパスを出した。試合も3―2で勝利。満員の味スタで行われたお別れセレモニーでドイツでの活躍を誓った。前節、ステージ優勝を決めた浦和はホームで新潟に5―2で完勝。J1新記録の開幕からの連続不敗記録も17戦に更新し、17戦連続不敗はクラブ新記録でJ1史上2位タイとなった。

【試合結果 順位表】

 もう涙が止まらなかった。試合後の壮行セレモニー。この試合を最後にマインツへ移籍する武藤は、両親らに花束を渡され、ピッチに中央に置かれたマイクの前に立った。大画面にJrユース、ユース、慶大時代の思い出の映像が次々に映し出されると、両目から大粒の涙があふれ出た。「泣かないと決めてたんですけど…」。それでも声を振り絞って周囲への感謝の言葉を並べると、最後には満員のサポーターに「日本代表、ドイツでしっかり結果を出して恩返ししたい」と力強く誓った。

 ラストにふさわしい最高の舞台だった。試合前に両イレブンが入場すると、満員に埋まったスタンドにコレオグラフィー(人文字)が浮かび上がった。今季3度目となる4万人超えのスタンドはチームカラーの青と赤に埋め尽くされ、ゴール裏には「MUTO」の文字、さらにはチームのエンブレム。予想されていた雨も上がり、差し込んだ夕日がピッチを照らした。スタジアムは壮行ムードに彩られた。

 武藤もその期待に応えるかのように最後まで戦った。「いつもより力んでいたのかな」と振り返ったように、後半開始直後に珍しく右足がつった。それでも同15分には左サイドから中に切り込み、相手を引きつけてフリーになった前田に絶妙なラストパス。決勝弾をアシストした。90分フル出場。そして、再び足を振った。持てる力を全て出し切った何よりの証拠だった。試合後は「やっぱりゴールを決めたかった」と悔しがったが、成長した姿を存分に見せつけた。そして、周囲への感謝の思いは確かに伝わった。

 武藤は来月上旬にも渡独し、いよいよ待ち望んだ欧州の舞台に立つ。プロ1年目の昨季に新人最多タイとなる13得点を挙げ、日本代表入りを果たすなど一気にスター街道を駆け上がった。そして、迎えるサッカー人生第二章。「マインツでレギュラーとして活躍すること。海外は結果がすべて。ゴールという結果が一番。リーグ戦が始まったらゴールを量産したい」。最高の輝きを放って、新たな挑戦へドイツへ向かう。 

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2015年6月28日のニュース