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コンテ監督 遺恨でユーベと亀裂、好調なのに…アズーリ青息吐息

[ 2015年3月31日 08:10 ]

ユベントスとの対立が表面化したイタリア代表・コンテ監督(AP)

 イタリア代表がピッチ外のゴタゴタに見舞われている。ユベントスのMFクラウディオ・マルキジオ(29)の負傷離脱をめぐり、アントニオ・コンテ監督(45)への批判が噴出。昨季まで同クラブをセリエA3連覇に導きながらフロントへの不満から退団した同監督と古巣の対立が、代表VSユベントスに発展した。昨年8月の同監督就任後は親善試合を含め7戦5勝2分けと無敗の「アズーリ」だが、今後への影響は避けられそうにない。

 不可解な離脱だった。欧州選手権予選のブルガリア戦を翌日に控えた27日、イタリア代表の練習でマルキジオが右膝を負傷。合宿地に近いフィレンツェの病院で検査を受け、イタリア協会は「右膝前十字じん帯部分断裂で全治6~8カ月」と発表した。ところが、トリノへ戻って受けた精密検査の結果、ユベントスは「断裂は一切見当たらない」と発表したのだ。

 代表のチームドクターは「アップ中に膝が変な曲がり方をした」、検査した医師も「断裂は確かに確認された」と主張した。しかし、マルキジオはインスタグラム(写真共有アプリ)で「思ったよりひどくなかった」とファンに報告。回復が順調なら4月4日のエンポリ戦に出場可能という。

 ただし、問題はケガの程度ではなかった。“重症”の一報を受け、ユベントスの親会社フィアットのエルカン社長が発したコメントが騒動に火を付けた。「本来なら練習はクラブでするべきもので、代表監督は選手を選んで戦わせるだけ。それなのにコンテは練習をさせすぎる」。コンテ監督は「自分がユベントスにいた頃は、そんなことは言われなかった」と反論したが、代表監督就任後はケガ人が多いこともあってユベントスファンなどから批判が集中。イタリア協会のタベッキオ会長は「28日にインターネット上で監督の殺害予告が届いた」と明かした。

 コンテ監督は合宿で厳しい練習を課すだけではなく、短期合宿実施やリーグ戦の日程変更などを要求し、セリエAの各クラブが反発していた。代表とクラブの対立は珍しくないが、率先して反対しているのが昨季まで指揮官が率いていたユベントス。「クラブが非協力的だ」とこぼし、辞任もちらつかせるコンテ監督に対し、アニェッリ会長は「快く選手を送り出しているのに、なぜ“関係が難しい”と言うのか」と不快感を示していた。

 ユベントス時代のコンテ監督は国内無敵ながら欧州CLではベスト8止まり。さらなる補強をクラブに要求し、自身の権限拡大を希望して幹部と対立した揚げ句に昨季限りで退団したとされる。当時の衝突が代表に持ち越された形で、代表選手が多い国内No.1クラブとの衝突は強化への障害となることは確実。指揮官は「自分はゾウ並みに記憶がいいので、忘れずに覚えている」と批判への憎悪をあらわにしているが、元イタリア代表DFネスタは「意味のない争いだ」と国民の気持ちを代弁した。

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2015年3月31日のニュース