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バロテッリは不要?遅咲きペッレ台頭で白熱するアズーリFW争い

[ 2014年11月11日 10:45 ]

イタリア代表に初召集された10月のマルタ戦で見事なデビュー弾を決めたFWペッレ(AP)

 16年欧州選手権(フランス)予選は14~16日に第4節が行われる。H組で3連勝のイタリアは9日、クロアチアとの全勝対決(16日、ミラノ)へ向けたメンバー26人を発表した。FWは今季不振のマリオ・バロテッリ(24=リバプール)がコンテ監督就任後初招集されたほか、10月に初代表初得点をマークしたグラツィアーノ・ペッレ(29=サウサンプトン)も選出。遅咲きの大型ストライカーがバロテッリらとのレギュラー争いに挑む。

【16年欧州選手権予選】

 今季プレミアリーグで対照的な成績の2人が、今予選最大の難敵を迎えるイタリア代表に選ばれた。リバプールでリーグ戦無得点のバロテッリと11試合6得点の活躍で現在2位のサウサンプトンを支えるペッレ。今回はコンテ監督がバロテッリにチャンスを与えた形だが、地元紙ガゼッタ・デロ・スポルトのアンケートでは80%の読者が招集に「NO」。それだけに1メートル94、84キロとサイズでもバロテッリを上回るペッレへの期待は大きい。

 ペッレは10月、29歳にして代表初招集。代表デビューとなった同13日のマルタ戦でいきなり初ゴールを決めた。「長年呼ばれなかったのは自分のせい」と話すように、04年に18歳でデビューしたレッチェをはじめ、レンタル移籍を繰り返したイタリア時代は鳴かず飛ばず。フィジカルが強くボールキープ力と空中戦には優れていたが、得点力不足が致命的だった。

 転機となったのは07年に移籍したオランダ・AZでのファンハール監督(現マンチェスターU監督)との出会い。「もし出会わなければ息子は大工になるか私と一緒にコーヒーを売っていた」と父ロベルトさんが感謝するように、指揮官はシュートを外しまくる大型FWを辛抱強く使い続け、ペッレも戦術を理解するにつれ的確なポジション取りができるようになった。11年に加入したパルマでは期待外れだったものの、12年にレンタル移籍したフェイエノールトで大ブレーク。AZ時代にも師事したクーマン監督の下、2年間計57試合で50ゴールを量産し、地元ロッテルダムで小学生がペッレの髪形をまねるほどの人気者となった。

 今季はクーマン監督とともにサウサンプトンへ移籍。フィジカルの強さがプレミアにマッチして9月の月間最優秀選手に選ばれ、「オランダでしか通用しない」との前評判を覆した。「自分は十分経験があるので、今どんな状況なのか分かる。フィジカルもメンタルも大人になったし、言い訳せず、常に前向きなプレーを心がけている」。母ドリアーナさんが社交ダンスの講師で子供の頃はサッカーとダンスを両立させ、11歳で全国大会優勝。当時から柔軟だったという巨体の持ち主が、イタリアの切り札になる日が来るかもしれない。

 ◇グラツィアーノ・ペッレ 1985年7月15日、イタリアのサンチェザーリオ・デ・レッチェ生まれの29歳。レッチェのユースチームから04年にトップチームへ昇格。05年1月に2部カターニア、06年1月に2部クロトーネ、同年夏にチェゼーナへレンタル移籍。07年にAZ、11年にパルマへ移籍し、サンプドリアへのレンタル移籍を経て、12年からフェイエノールトでプレー。今年7月にサウサンプトンと3年契約を結んだ。U―20イタリア代表で05年世界ユース選手権(現U―20W杯)に出場。1メートル94、84キロ。利き足は右。

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