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【オシム準決勝総括3】進化したドイツ 大きいGKノイアーの存在

[ 2014年7月11日 10:15 ]

広い守備範囲で危険を取り除いたドイツGKノイアー(AP)

 アルゼンチンとオランダが対戦したW杯ブラジル大会の準決勝は、スコアレスドローの末に、アルゼンチンがPK戦を制し、13日(日本時間14日午前4時)の決勝に駒を進めた。一方、8日の準決勝ではブラジルがドイツに1―7と記録的な大敗。王手をかけた2チームの勝因、そして、王国ブラジルに何が起きたのか。元日本代表監督の知将イビチャ・オシム氏(73)が分析した。

 【進化したドイツ】

 ドイツも称賛すべきだろう。「フィジカルの戦いになる。審判もよく見てほしい」とレーブ監督が語ったように、今回のブラジルの特徴をよく研究していた。試合開始直後のプレッシャーは想定内。ブラジルの猛攻をしのぐと、セットプレーから早い時間帯に先制することができた。ブラジルDFがボールを持つと、FWがプレッシャーをかけ、MFはパスコースを消した。ロングボールかドリブルしかできない状況に追い込み、進入者は集団で囲い込んだ。突破されてもGKノイアーが広い守備範囲で危険を取り除いた。

 攻撃面では、サッカーの基本である「パス&ゴー」、常に3人以上のコンビネーションでショートカウンターを繰り返した。先制点を奪って以降は、さらに頻繁に攻撃のチャンスをつくり出した。その意味でも、ブラジルのミスに助けられた先制点は大きかった。

 ドイツの勝利は4年前にもその片りんが表れていたが、長期計画の成果だ。90年代までの強さ重視のスタイルから切り替えて、2000年頃から技術とスピードのある若手の育成に力を入れた。現在20歳代半ばのエジル、ミュラー、クロースらはその果実だ。ボアテング(ナイジェリア系)、ケディラ(チュニジア系)らのアフリカ系選手を登用したのも、それまでにない特徴だった。

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2014年7月11日のニュース