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自信と確信を得た欧州遠征…オシム氏「日本は成熟した姿見せた」

[ 2013年11月26日 09:12 ]

<ベルギー・日本>後半8分、本田(左)が右足で勝ち越しゴール

 来年6月12日に開幕するW杯ブラジル大会は出場32チームが決まり、12月6日(日本時間7日未明)には1次リーグの組み合わせ抽選が行われる。開幕まで残り7カ月、日本代表はこれから強化の最終段階に入る。元日本代表監督のイビチャ・オシム氏(72)は、優勝候補のオランダに2―2と引き分け、FIFAランク5位のベルギーに3―2で勝った欧州遠征をテーマに熱く語った。

 ≪遠征総括≫10月に対戦したセルビアやベラルーシはW杯予選で敗退したが、決して日本が侮れる相手ではない。どちらもホームゲームで、自分たちの力を地元の観衆の前で証明しようとしていた。簡単に勝てる相手などどこにもいないことを、まずは理解すべきだ。

 オランダ、ベルギー戦は掛け替えのない経験を積み、確固としたチームとなり、ピッチ上で自分たちに自信が持てるようになるために組まれた試合だった。自分たちをアウトサイダーと位置づけるのではなく、自分たちを信じて強く戦えるチームとなるために。それがチームの成熟になる。そういう面で日本は十分に成熟した姿を見せた。今回は、フィジカルコンディションが10月の時より良くなっていた。選手たちにも、たとえ相手が世界のトップクラスとはいえ、これ以上は負けられないという危機意識もあったのだろう。両代表はどちらもフィジカルで高いレベルにあるチームだった。身体能力の高さでは、どちらも折り紙つきだ。そういう相手に慣れる必要があるが、常に100%の力を発揮して贈り物(偶然の幸運)を期待してはいけない。

 オランダ戦ではいろいろな点で進歩を示した。ベルギー戦では、相手ゴール前でより危険な存在になったことを見せてゴールも決めた。オランダ戦の日本は自分たちが(互角に)プレーできることを証明するためにプレーしていた。だが、 それだけでは十分ではない。それだけのプレーをしたのであれば、勝たなければならない。試合をする以上は勝利を目指すもので、それ以外の目的はない。W杯でもそれは同じだ。

 難しいのは選手たちに、「自分たちに何ができるか」を理解させることだが、サポーターやメディアなどよりも、まず選手が自信を持つことが重要だ。そして何よりも結果が、彼らに自信と確信を与える。その点で日本は優れた相手にとてもいい試合をした。

 ▽イビチャ・オシム 1941年5月6日、ユーゴスラビア(現ボスニア・ヘルツェゴビナ)のサラエボ生まれの72歳。86年にユーゴスラビア代表監督に就任。90年W杯イタリア大会にストイコビッチらを擁してベスト8に進出した。03年市原(現千葉)監督。06年日本代表監督に就任も、07年11月に脳梗塞で倒れて退任した。

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