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発端はオーナー放言 どうなる内紛オーストラリア、新団体も設立

[ 2012年3月6日 11:39 ]

 14年W杯予選を戦う日本のライバル国、オーストラリアが揺れている。国内のAリーグでゴールドコーストを率いる富豪オーナーの問題行動に対し、オーストラリア・サッカー協会がリーグ参加資格剥奪を決定。協会が選手を管理下に置いて残り試合を戦う事態となった。オーナー側は協会に対抗する新団体を設立。国内リーグの騒動はオーストラリア代表の弱体化につながる可能性もあり、目が離せない。

 渦中のゴールドコーストが戦いの場に戻ったのが4日のウェリントンP戦。参加資格剥奪で残り4試合の扱いが注目された中、サッカー協会が今季終了まで各選手と個別に契約する形で態勢を整えた。試合は敗れて10チームの最下位。上位6チームのプレーオフには届かないが、ムルビー監督は困難な状況で戦った選手を「称える言葉が見つからない」と称賛した。

 騒動の発端は2月19日の地元紙が報じたオーナーのクライブ・パーマー氏の発言。1試合平均の観客動員がリーグ最低の3000人に沈む中、サッカーに関し「どうしようもない競技。ラグビーの方がよっぽどいい」と訴え、Aリーグを「冗談のよう」と切り捨てた。

 数々の問題行動で知られていた富豪オーナーはサッカー協会のバックリー最高責任者から「全てのサッカー関係者に対する攻撃」と非難され、直後の試合で「フリーダム・オブ・スピーチ(言論の自由)」のロゴが入ったユニホームを選手に着用させた。規約違反と判断されて同29日に参加資格を剥奪されると、翌1日には協会に対抗する新団体「フットボール・オーストラリア」設立を宣言。事態は泥沼化した。

 FIFAランクはアジア最高の22位。9日の14年W杯アジア最終予選の抽選で第1シードとなる見通しのオーストラリア代表だが、06年W杯16強を支えた“黄金世代”は高齢化で陰りが見える。一方でU―23代表がロンドン五輪アジア最終予選で敗退するなど次世代の強化は停滞。06年W杯で2人だった国内組が先日のW杯予選は9人を数えた。ゴールドコーストからの招集は1人だけだったが、国内組への依存度は確実に増している。底辺拡大と人材供給源の役割を担うAリーグの迷走は、オーストラリアの未来に不安を投げかけた。

 ★Aリーグ 05~06年に8チームで発足。今季は10チームでレギュラーシーズン28試合を戦い、上位6チームがプレーオフに進出する。リーグ設立1年目に横浜FCのFW三浦知良が世界クラブ選手権(現トヨタ・クラブW杯)に出場するシドニーFCに期間限定で加入。

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2012年3月6日のニュース