×

リバプールを買収?英サッカー界に中国マネーの存在感

[ 2010年8月20日 09:21 ]

 世界で最も人気のあるプロサッカーリーグの一つ、英イングランド・プレミアリーグで、昨年10月に香港の実業家が中堅クラブのバーミンガムを買収、最近も名門リバプールの買収交渉で中国系ビジネスマンが有力候補に浮上するなど、中国マネーが存在感を増している。

 英紙フィナンシャル・タイムズは、世界経済の「地政学的な勢力図の変化」を象徴する事例と解説。近代サッカー発祥の地、英国の一部ファンはこうした動きに反発するが、同リーグは、巨大な人口を抱え経済発展を続ける中国を重要市場とみなしており、大半の英国人も「時代の流れ」と受け止めているようだ。
 1892年設立のリバプールは、最多タイの18度のリーグ制覇を誇る強豪。イングランド代表のジェラード選手らが所属し熱狂的なファンが多いことで知られる。ただ、経営状況は芳しくなく、米国人オーナーは2007年に買収した際に借り入れた資金の返済に苦しみ、銀行から売却を迫られている。
 この買収交渉に名乗りを上げたのが、香港を拠点とするケニー・ホアン氏。英紙タイムズによると、同氏は、今や世界一の中国の外貨準備を運用する中国政府系投資ファンド「中国投資」が中心のコンソーシアム(企業連合)を代表しており、最有力候補。他の英メディアも続いて「中国がリバプールを買収か」と報じた。
 中国投資は一部メディアの取材に買収話とは無関係と回答しているが、中国マネーが買収計画の背後にあるとの見方は消えない。ホアン氏はリバプールの価値を3億~3億5千万ポンド(約400億~470億円)と見積もっているとされる。
 バーミンガムでは、ユニホームを提供するメーカーが今年、英国の「アンブロ」から中国のスポーツ衣料メーカー「特歩」(英語名・Xtep)に切り替わった。サッカー熱の高い中国でのファン開拓のため、7月に北京や香港で親善試合も開催、北京では約5万人の観客を集めた。
 同リーグ以外でも、中国の太陽光パネル製造大手「英利緑色エネルギー」がワールドカップ(W杯)南アフリカ大会の公式スポンサーになったほか、昨年までスペイン1部リーグ、オサスナのスポンサーを務めるなど中国企業の進出は盛んだ。
 プレミアリーグは外国からの投資に寛容で、これまでにロシアや中東のオーナーも誕生している。(共同)

続きを表示

2010年8月20日のニュース