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ヒディンク魔術でロシア20年ぶり8強

[ 2008年6月20日 06:00 ]

<ロシア・スウェーデン>後半5分、ゴールを決めたアルシャビン(右)を祝福するロシアイレブン

 欧州選手権1次リーグD組の2試合が18日に行われ、ロシアが準々決勝進出を懸けたスウェーデンとの直接対決を2―0で制した。出場停止処分が明けたFWアンドレイ・アルシャビン(27=ゼニト)が2得点に絡む活躍。旧ソ連時代の88年大会以来の8強入りを決めた。1位突破を決めていたスペインは控え主体でギリシャに2―1で逆転勝ちした。

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 策士ヒディンク監督は笑いが止まらなかった。「彼は違いを生み出せる。最初から3戦目での活躍に期待していた」。エースのアルシャビンは予選最終戦で退場となり、今大会開幕2戦は出場停止。処分が明けるスウェーデン戦を前に指揮官は「勘が鈍って実戦で通用する状態ではない」と先発落ちを示唆していたが、フタを開ければフル出場でマン・オブ・ザ・マッチに輝いた。

 引き分けでも突破のスウェーデンに対し、勝利が必要な状況で序盤から攻めた。前線からプレスをかけてボールを奪うと素早く展開。前半24分にアルシャビンが起点となって先制点を奪い、後半5分には復活したエースがカウンターから決定的な2点目を挙げた。後半は守りを固めながら2トップは前線に固定。相手DFの攻撃参加を抑えながら常に相手ゴールを脅かし、主要国際大会1次リーグ敗退がない名将がその真価を見せつけた。

 ロシア初の外国人監督として進めてきた改革が実を結んだ。06年夏に就任すると、チェルシーのオーナーで代表を財政的に支援する石油富豪アブラモビッチ氏の後押しを受け、選手選考で伝統とも言われた地元クラブやメディアの影響を排除。主将だったベテランのスメルチンを切り捨てるなど若手重視の招集を続けた。先日延長したばかりの契約は10年までだが、託されたのは14年W杯ブラジル大会に向けてロシア再生の礎を築くこと。今大会最年少の平均年齢25・5歳のチームを率いる指揮官は「ここ数日の目覚ましい成長を誇りに思うよ」と力を込めた。

 旧ソ連として準優勝した88年大会以来の決勝トーナメント初戦は母国オランダが相手。ヒディンク監督は「面白い試合になる」と不敵に笑ったが、その言葉通り目が離せない戦いとなりそうだ。

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2008年6月20日のニュース