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世界一のカテナチオ崩壊 38年ぶり屈辱大敗

[ 2008年6月11日 06:00 ]

得点を許しがっくりするイタリアのGKブッフォン

 カテナチオが崩壊した。欧州選手権は9日、1次リーグC組の2試合を行い、06年W杯王者のイタリアはオランダに0―3で完敗した。DFファビオ・カンナバロ主将(34=Rマドリード)をケガで欠いた守備陣が崩れ、主要国際大会では70年W杯決勝(対ブラジル)以来38年ぶりとなる3点差での敗戦。80年大会から導入された1次リーグの初戦で敗れたのは初めてで、早くも1次リーグ敗退の危機に直面した。ルーマニア―フランス戦は0―0で引き分けた。

 世界王者のプライドはベルンでズタズタに切り裂かれた。2年前のW杯ドイツ大会では7試合でわずか2失点だった自慢の守備陣が破たんし、0―3で完敗した。イタリアの3点差以上の敗戦は欧州選手権では初めて。国際試合では83年10月の欧州選手権予選(ナポリ)でスウェーデンに0―3で敗れて以来25年ぶり、主要国際大会では70年W杯決勝でペレ擁するブラジルに1―4と大敗して以来の屈辱だった。キャプテンマークを巻いて出場したGKブッフォンも「W杯王者にあるまじき試合をした。イタリア国民に謝りたい。僕が代表で12年間戦った中で最悪の試合になってしまった」とうなだれた。

 06年W杯優勝の原動力となった守備の要、カンナバロが大会直前に左足首をケガして欠場したのが響いた。序盤からオランダの激しいプレッシャーを受け防戦一方。前半26分には左後方からのシュートをファンニステルローイにゴール前で合わせられ、先制点を献上した。ファンニステルローイの前にいたのはGKブッフォンだけでオフサイドと思われたが、実は失点直前にブッフォンと交錯したパヌッチがゴール脇でうずくまっていた。パヌッチは主審に断らず勝手にゴールラインの外に出たため、プレー中との判定。得点が認められるとカンナバロ不在の守備陣は浮足立ち、5分後に2点目、後半34分に3点目を奪われた。

 惨敗から一夜明けた10日、イタリア各紙はドナドニ監督にバッシングを浴びせた。コリエレ・デロ・スポルト紙は「大失態のドナドニ」、トゥット・スポルト紙は「リッピ前監督を呼び戻せ」の見出しで猛批判。今季セリエA得点王のデルピエロが後半19分から出場して好機を演出しただけに、ガゼッタ・デロ・スポルト紙は「投入が遅すぎる」と采配を問題視した。大会前に10年まで契約を延長した指揮官は「気持ちを切り替えて2試合に臨みたい」と話したが、ルーマニア戦(13日)とフランス戦(17日)で結果を残さなければ退任は避けられない状況だ。

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2008年6月11日のニュース