さらば幸四郎、20年の騎手人生に幕…トレーナーとして第2章へ

[ 2017年2月27日 05:30 ]

引退セレモニーで騎手仲間に胴上げされる武幸四郎騎手(中央)
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 26日の阪神競馬で20年のジョッキー人生に終止符を打った武幸四郎。最終レースの騎乗を終え、慣れ親しんだジョッキールームで静かにムチを置いた。

 97年3月、デビュー週の初勝利が初重賞となったオースミタイクーンの映像から始まった引退式。丸刈りの頭にファンは「若い」「可愛い」など声を上げ、6度のG1勝利のシーンを拍手で称えた。最後まで幸四郎人気は凄かった。象徴的だったのは最終12Rの騎乗馬メイショウオオカゼで、近走の成績からは伏兵にもならぬはずだが、締め切り寸前まで1番人気を競った。最終的に5番人気に落ち着いたが、ファンからの“惜別オッズ”に他ならない。

 「これだけたくさんの人に残ってもらって。最高の形で騎手人生を終われたと思います」と、幸四郎は何度も感謝した。

 家族愛、も感じられる引退式だった。身内だけのショットはファンの前でも照れることなく撮った。仕切り役は「家族で撮ろう」と音頭を取った兄・豊だ。幸四郎の手には昨年8月に天国へ旅立った父・邦彦さんの遺影が握られている。「ここに(父親が)いれば良かったけど…。珍しく母親(洋子さん)も競馬場に来てましたからね」と、ひときわ長身の幸四郎もここでは末っ子の顔を見せた。

 騎手仲間の胴上げでは8度宙に舞い、第1章の幕は下りた。トレーナーとして始まる第2章に「今度は調教師としてファンに応援してもらえる馬をつくりたい」と口にした。ただ、この日ばかりは、素晴らしき騎手人生の余韻に浸りたい様子だった。

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