【宝塚記念】マリア様男勝りV!05年スイープ以来3頭目の牝馬戴冠

[ 2016年6月27日 05:30 ]

内で粘るキタサンブラック(奥)とドゥラメンテ(手前)の猛追を振り切って宝塚記念を制したマリアライト

 春のG1を締めくくるグランプリ「第57回宝塚記念」が26日、阪神競馬場で行われた。8番人気の伏兵マリアライトが直線壮絶な叩き合いを制し、昨年のエリザベス女王杯に続くG12勝目を挙げた。牝馬による同レース制覇は66年エイトクラウン、05年スイープトウショウに続く史上3頭目の快挙だった。1番人気ドゥラメンテは首差2着でゴール後に故障を発症。今秋に予定していた凱旋門賞挑戦プランに黄信号がともった。ファン投票1位キタサンブラックが3着に逃げ粘った。

【レース結果】

 何という牝馬だ。438キロとメンバー中最軽量のマリアライトが、類いまれなる勝負根性で強豪牡馬をなで斬りにした。

 迫力満点の直線の攻防。蛯名の豪快なアクションと必死の右ステッキに、マリアは小さな体で懸命に応えた。残り100メートルで昨年の覇者・ラブリーデイを捉えると、一気に内で逃げ粘るファン投票1位・キタサンブラックに襲いかかる。わずかにマリアが前に出た。次の瞬間、外から昨年のダービー馬・ドゥラメンテが強烈な末脚で急襲。ゴール前は牡馬G1馬2頭に挟まれる壮絶な叩き合い。ゴールではドゥラの猛追を首差しのいでいた。

 蛯名は12回目の騎乗で宝塚記念初制覇。47歳3カ月8日でのVは最年長記録だ。「ゴール前はみっともないくらいに追いました。(馬には)“頑張れ、頑張れ”と、自分にも頑張れと思いながら追いました。このメンバーを負かしてくれて本当に凄いと思う」とパートナーの頑張りに賛辞を贈った。

 牡馬にもまれて頑張ってきたマリアに、競馬の神様がほほ笑んだ。エリザベス女王杯を制した後は適距離の牝馬限定戦がないこともあり、牡馬路線を歩んだ。それでいて通算17戦で掲示板(5着)を外したのはたった1度だけ。レース前、久保田師は「この馬の強さがフロックではないと証明したい。本当にあと少しの運があれば」と祈るように話していた。やや重の馬場、ストレスなく運べる外枠、ハイペースとあらゆる要素がかみ合った。「直線は何とかしてくれという思いだけで見守っていた。本当に素晴らしい気持ちを持った馬」とその勝負根性を称えた。

 気になる秋のプランについては「この勝利で、いろいろと考えることが増えた。今はまだ何も考えていない」と話すにとどめたが、海外遠征も含め選択肢が広がったことは確か。どんな道を歩もうとも、今のマリアに怖いものは何もない。

 ◆マリアライト 父ディープインパクト 母クリソプレーズ(母の父エルコンドルパサー)牝5歳 美浦・久保田厩舎所属 馬主・キャロットファーム 生産者・北海道安平町ノーザンファーム 戦績17戦6勝 総獲得賞金4億725万8000円。

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