【宝塚記念】キタサンブラック ファン投票圧倒1位に応え“圧逃”だ

[ 2016年6月21日 05:30 ]

持ち前の勝負根性で3つ目のタイトルを狙うキタサンブラック

 上半期の中央競馬を締めくくる「第57回宝塚記念」は07年以来、実に9年ぶりのフルゲートが濃厚。G1馬6頭の覇権争いは、春のグランプリと呼ぶにふさわしいハイレベルだ。主役は昨年の菊花賞に続き、春の天皇賞を制したキタサンブラック。ハードな稽古を消化し万全の態勢で、海外帰りの前年の2冠馬ドゥラメンテ、昨年覇者のラブリーデイの挑戦を迎え撃つ。ファン投票1位に応え、3つ目のタイトルを狙う。

【宝塚記念】

 このタフさはちょっと驚異的だ。ファン投票8万2121票(支持率70・8%!)を集め、今年の宝塚記念の主役を務めるキタサンブラック。先週までにCWコースで3本の追い切りを消化しているが、時計を出すのは“追い日”だけではない。毎週土曜もCWコースで追い切りと見まがう調教を積んでいる。先週18日も6F86秒8から1F11秒7!これには“やり過ぎじゃないか!?”の声も聞こえてくるほどだ。

 「これだけやってそれに耐えられるんですから、本当に凄い」。そう言って目を細めたのは辻田厩務員。もちろんこれだけハードに攻められるのは強じんな体と担当者のケアがあってこそ。重厚感を増した、はち切れんばかりの馬体が“絶”の付く好調を告げている。

 「天皇賞は、ゲートに付いていっていたからバスの中でちらっと見たぐらい。ゴール前も勝ったかどうかも分からなかった。あのレースをスタンドで見ていたら失神してたかも(笑い)。ユタカさんがこの馬の力を出し切ってくれました。3200メートルを走って最後に差し返すんですから」

 天皇賞史に刻まれるゴール前の攻防。いったんカレンミロティックに完全にかわされながら差し返す、あり得ない勝負根性だった。

 「この馬には最初からびっくりさせられっ放しです。気持ちが強いし、自分を見失わない。本当に凄い馬だと思いますよ」

 これまで10戦戦ってきたが、意外なことに1番人気に支持されたことがない。今回のファン投票1位は世間がようやく真の強さを認めた証だ。「不安は全くありません。走ってくれると信じています」と辻田厩務員は力強い。今年2つ目のタイトル獲得となれば、年度代表馬の座も見えてくる。宝塚記念4勝の名手に導かれ、“圧逃”するシーンも十分にありそうだ。

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2016年6月21日のニュース