【日本ダービー】ディーマジェスティ 蛯名、節目の30年目で悲願成就を

[ 2016年5月23日 05:30 ]

併せ馬で追い切るディーマジェスティ(右)

 13年生まれのサラブレッド6913頭から選び抜かれた優駿18頭が覇を競う「第83回日本ダービー」が29日、東京競馬場でゲートインする。栄冠奪取へ並々ならぬ闘志を燃やすのが、ベテラン蛯名正義騎手(47)。過去に23回挑戦するも2度の2着が最高。クラシック1冠目の皐月賞をレコード勝ちしたディーマジェスティ(牡3=二ノ宮)という最強パートナーとともに、節目のデビュー30年目で悲願成就を狙う。

【日本ダービー】

 積み上げてきた勝利数は、JRA史上4位の2425。G1制覇は海外を含めて26を数え、99年にはエルコンドルパサーで挑んだ世界最高峰レースの凱旋門賞で2着。輝かしい実績を残してきた蛯名だが、一つだけ足りないものがある。競馬に携わる人間なら、誰もが夢見るダービーのタイトル。蛯名自身も、強いこだわりを持ってきた。

 「勝ちたいという思いだけなら、誰にも負けていない。思いだけで勝てるのなら、もう勝っているだろうけどね」

 過去23回の挑戦で、栄冠に最も近づいたのは12年だ。フェノーメノで中団から猛烈に追い込んだものの、先に抜けたディープブリランテに鼻差届かず2着で涙をのんだ。その2年後、14年は皐月賞馬イスラボニータで1番人気に推された。しかし、今度は直線で先頭に立ったところを外からワンアンドオンリーに強襲され、またも2着。

 「一生懸命やってきたが、それでも獲れずにいる。何か違う部分があるのかなと思う。応援とか、運とか、そういうものが最後のひと押しにつながるのかもしれない」

 騎手生活30年目の節目を迎えた今年、最大のチャンスを迎えた。コンビを組むのは、皐月賞を桁違いの末脚で豪快に差し切ったディーマジェスティ。その勝ちっぷりは、ダービーの舞台となる東京芝2400メートルの適性を確信させるものだった。

 「ダービーが楽しみになる競馬ができればと思ったが、想像以上にペースがはまった。ただ、後ろのマカヒキを抑えて勝ったわけだから。レース前は“どこまでやれるか”という気持ちだったが、十分にやれるということを証明できた」

 悲願だったダービージョッキーの称号が手の届くところに迫っても多くの経験を積み、修羅場をくぐり抜けてきたベテランは極めて冷静だ。

 「俺も若くないし、そうチャンスがあるかは分からない。まずは無事に舞台へ立つことが第一。立てれば、馬のいいところを出せるようにするだけ。自分が気負っても、いいことない」

 決戦まで、あと6日。あふれる闘志を内に秘め、名手は静かに24度目の“競馬の祭典”を迎える。

 ◆蛯名 正義(えびな・まさよし)1969年(昭44)3月19日、北海道生まれの47歳。87年に騎手デビュー。JRAのG1・25勝、海外G1は99年サンクルー大賞典(エルコンドルパサー)の1勝。ダービーを勝てば、保田隆芳元騎手、武豊騎手に続く史上3人目の8大競走(クラシック5レース、天皇賞・春&秋、有馬記念)完全制覇を達成する。

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