【オークス】シンハライト剛脚V!桜2センチの涙を首差で晴らした

[ 2016年5月23日 05:30 ]

チェッキーノ(手前)、ビッシュ(左奥)との競り合いを制したシンハライト

 牝馬クラシック第2弾「第77回オークス」が22日、東京競馬場で行われた。後方から運んだ1番人気シンハライトが剛脚をサク裂させ樫の女王に輝き、桜花賞で2センチ差2着に惜敗した悔しさを晴らした。この春G1・2着3回と惜敗が続いていた池添は、これでG1・22勝目。石坂師は12年ジェンティルドンナに続くオークス2勝目となった。

 執念の騎乗が実った。池添とシンハライトは後方15番手からレースを進めた。レース前、石坂師は「せっかくの好枠(3番)。ロスなく運んでくれ」とだけ指示を出していた。池添は「ゲートの一歩目が遅くなって、イメージより後ろの位置取りになってしまった」と振り返ったが、慌てず折り合いをつけることだけに気持ちを集中させた。

 直線入り口。シンハはまだ馬群の後方。「一瞬、どこにいるのかと探した」と師。ラスト200メートルでも、まだ馬群の中。デンコウアンジュをはじく形となったが、外に進路を取って馬群をこじ開けると、そこから四肢をフル回転。一瞬で抜け出すと、上がり3F最速33秒5の驚脚を繰り出した。外からチェッキーノが迫ったが、今回は首差先にゴール板に飛び込んだ。

 ウイニングランで右手を突き上げ1冠をアピールした池添。検量室に引き揚げてくると、愛馬に「良かったな」と声を掛け首筋をなでた。続いて石坂師と握手を交わし「思ってた以上に強かった」と、ようやく安どの表情を見せた。「直線は真ん中を通って、空いたところに突っ込んでいこうと思っていた」と池添。チェッキーノとの着差を考えれば、大外に持ち出していたり、進路の切り替えが遅れていたら、届かなかった可能性は大きい。あまたのG1勝利を経験した男だからこその、肝の据わった騎乗だった。

 桜花賞はジュエラーに2センチ差の2着。そのジュエラーが骨折で戦線離脱し、負けられない一戦だった。「前走の悔しさを晴らすのはオークスしかない、と思って臨んだ」と強い思いを胸に挑んだ大一番。最後の直線での外斜行で開催2日間の騎乗停止処分を受けたため、ロードクエストで参戦予定だったダービー騎乗はかなわない。だが今春G1で2着3回、3着1回の惜敗続きにようやくピリオドを打った。

 ジェンティルドンナ以来の樫制覇となった石坂師は「あの時も大丈夫だろうと思っていたが、今回も十分いけるだろうと思っていた」と自信を持って送り込んだ。初めての長距離輸送もマイナス4キロと、何とか踏みとどまった。422キロの軽量にもかかわらず馬群をこじ開けたド根性娘に、師は「これがシンハの底力」と最上級の賛辞を送った。

 秋は秋華賞(10月16日、京都)で2冠獲りに挑む。秋には復帰見込みのジュエラーとNHKマイルCを制したメジャーエンブレムとの再戦が濃厚。「最初にまたがった時から“凄い素質”と感じていた馬。秋華賞でNo・1を証明したい」と力強く宣言した池添。その言葉の端々に、シンハへの強い信頼感がにじみ出ていた。

 ◆シンハライト 父ディープインパクト 母シンハリーズ(母の父シングスピール)牝3歳 栗東・石坂厩舎所属 馬主・キャロットファーム 生産者・北海道安平町ノーザンファーム 戦績5戦4勝 総獲得賞金2億3333万4000円。

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