【安田記念】ヴァンセンヌ最強DNA開花!馬場悪くても飛んだ12秒4

[ 2015年6月4日 05:30 ]

坂路を単走で追い切られたヴァンセンヌは風雨を切り裂き力強い動きを披露した

 週末の府中は“ディープ祭り”だ!!春の最強マイラーを決する「第65回安田記念」の追い切りが3日、美浦、栗東トレセンで行われた。ディープインパクト産駒は6頭出しの大攻勢。中でも昨秋から快進撃のヴァンセンヌは栗東坂路で力強い動きを披露。名牝フラワーパークを母に持つ良血がG1初制覇を狙う。

【安田記念】

 視界が白く曇るほどの大雨に見舞われた、3日朝の栗東トレセン。激しく叩きつける風雨を切り裂くように、ヴァンセンヌが坂路を力強く駆け上がった。前半2Fこそセーブしたが、後半から一気にラップを上げて直線へ。ゴール前は右ステッキ2発で気合を注入。しっかりと負荷をかけ4F53秒6、ラスト1F12秒4をマークした。

 「下(馬場)が悪い中だったが、しまいも12秒台。動きは良かった。中2週という点を考慮しつつ、大型馬なので中間も緩めずやってきた。体調もいい」。調教の動きにも本格化ムードが漂う愛馬に、松永幹師は頼もしそうな視線を向けた。

 厩舎期待の良血も度重なる故障に苦しんできた。3歳時に右前骨折、4歳時に同屈腱炎。トータルの休養期間は2年2カ月に及んだ。本格的な戦線復帰は昨年10月。初戦こそ2着だったが、2戦目の500万下から一気の4連勝でG3東京新聞杯を制覇。一躍、マイル路線の新星として注目される存在となった。「いろいろあって時間がかかったが、やっとここ(G1)まで来た」。素質を信じ、再起を諦めなかった指揮官の執念が、今の快進撃へとつながった。

 母は96年に高松宮杯(レース名は当時)、スプリンターズSと短距離G1春秋連覇の名牝フラワーパーク。母の父は名マイラーとして名をはせ、85年に安田記念を制したニホンピロウイナー。そして父はディープインパクト。日本競馬の至宝といえる血脈だ。松永幹師は「血統に恥じない、いいものを持っている。将来の繁殖(種牡馬)入りのことを考えても、一つ大きなタイトルを獲らせたい」と意気込む。

 連勝こそ前走(京王杯SC)でストップしたが、不向きなスローペースを追い込んでの頭差2着なら勝ちに等しい内容。不運と困難を乗り越え、6歳にして初めて立つG1舞台。2戦2勝の府中マイルは、母系から受け継ぐ才能と宿命に約束された舞台でもある。

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2015年6月4日のニュース