吉井 どん底からはい上がり笠松トップへ

[ 2015年1月30日 05:30 ]

吉井友彦騎手

 【地方競馬です!!】名馬オグリキャップ、名手・安藤勝己元騎手を育てた笠松競馬。中京地区きっての競馬どころで14年、初めてリーディングを獲得したのが吉井友彦騎手(31=森山)だ。昨年12月30日のライデンリーダー記念で念願のSP1(笠松における最上級重賞)初制覇と通算500勝を達成し、名実ともに笠松のトップへ。15年も絶好調。14勝(29日終了現在)を挙げリーディングを突っ走る。

 昨年は遠征も多く経験し、着実に腕を上げたが、ここまで来るには苦労もあった。01年岩手でデビューしたが、翌02年にはもう引退。「調教してもレースは上位の騎手が乗る。当時はそれが我慢できなかった」。競馬から離れて約1年、転機が訪れた。同期の尾島騎手から電話が来た。「笠松でもう一度やらないか」。空っぽだった心が一瞬にして埋められていくのを感じた。馬に乗りたい。素直にそう思った。

 笠松で厩務員を経て08年、騎手免許を再取得。「1回失敗した不安はあったが、手を差し伸べてくれる人がいた。多くの人の支えがあって僕はレースに乗れる」。2度目の騎手デビュー。競馬に向かう意識は以前と全く違っていた。周りが見えるようになり感謝の気持ちが湧いた。

 心技体、全てが備わったからこそのリーディング。「追われる立場は厳しいが、このプレッシャーも楽しい」。どん底から、はい上がってきた男の心は強い。(秋田 麻由子)

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2015年1月30日のニュース