【エ女王杯】ヌーヴォレコルト迫力満点 斎藤師「最高の出来キープ」

[ 2014年11月13日 05:30 ]

単走で追い切られ、力強い走りを見せたヌーヴォレコルト

 強い3歳牝馬の戴冠だ。「第39回エリザベス女王杯」(16日、京都競馬場)の追い切りが12日、美浦、栗東トレセンで行われ、今春のオークス馬ヌーヴォレコルトが迫力満点のフットワークを披露した。断然人気で追い込み及ばず首差2着に敗れた秋華賞から中3週。関東屈指のタフネスホースは雪辱へ万全の臨戦態勢を整えた。同レースの枠順は14日に確定、馬券は15日から全国の競馬場、ウインズで発売される。

【エ女王杯】

 タフな牝馬の代名詞といえば、フランスから世界6カ国を渡り歩いてG1・9勝を挙げた“鉄の女”トリプティク。デビュー51戦、一度も故障せずに走り続けたイクノディクタスは和製“鉄の女”と言われた。秋華賞に続いて再び京都へ遠征するヌーヴォレコルトも、誰が名付けたのかニックネームは“覆面の鉄女”。中3週の短い間隔でも容赦なく追われた。

 夜来の降雨でぬかるんだWコース。トレードマークの覆面を前後に振りながら加速していく。直線で激しく手綱が動くと、鋼のような後肢を伸ばした。6日の1週前追い切りではステッキを入れて6F86秒2のハード調教。9日の日曜追い切りでも5F70秒8を出した上で、最終追いも6F81秒5の好時計だ。

 「秋華賞時の最高の出来をキープしている」と口火を切った斎藤師。「もし体調が整わなければ、回避してください」。原禮子オーナーからこんな要請があったことも明かした上で、「他の牝馬だったら中3週で再び京都に遠征させたりしない。この馬は特別にタフ。秋華賞の疲れもすぐに回復した。頭が下がる思いです」と続けた。

 “鉄の女”にもピンチがあった。秋華賞の3コーナーすぎで他馬に後肢をぶつけられ、飛節(人間のかかとの部分)に腫れが生じていた。カイバも食べず、歩行もぎごちない。「中3週ではおそらく戻り切らない。さらに2週空けて、ジャパンCを目指そう」。女王杯回避に傾いた陣営を驚かせるV字回復に向かったのは、レースからわずか3日後。カイバをむさぼるように食べ始め、正常な歩様へ。「秋華賞の1週後にはいつもの体重(450キロ)、腰回りに丸みを帯びた馬体に戻っていた」(同師)

 担当の鈴木助手は同馬の長所を「食べる才能」という。強い追い切りをかけても食欲が落ちない。2歳時から牡馬と同じ稽古を課してきた。「調教、レースを繰り返して雑草みたいに強くなってきた馬」。同師は馬房でカイバを平らげる姿に頼もしげな視線を向ける。

 一瞬の切れよりも、息の長い末脚が自慢のオークス馬。「秋華賞の京都内回りより女王杯の外回りコースのほうがレースがしやすい。同じ3歳牝馬のハープスターを物差しにすれば古馬にも対抗できる」(同師)。惜敗から中3週。雪辱を確信させる“鉄の女”だ。

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