【若松・BRメモリアル】白井、悲願SG初制覇“神スタート”決めた

[ 2014年9月1日 05:30 ]

ボートレースメモリアルを制し、メダルを手にガッツポーズの白井(中)。左は2着・辻、右は3着・寺田

 白井の、そして師匠の悲願がついにかなった。若松ナイターのSG「第60回ボートレースメモリアル」(モーターボート記念)は31日、12Rで優勝戦が行われた。コンマ00のタッチSを決めた2号艇の白井英治(37=山口)がジカまくりで快勝。SG優出14回目にして、ついにSG初制覇を達成し、師匠・今村豊とがっちり抱き合った。優勝賞金3500万円を獲得し、今年の賞金ランキングも6938万8000円で3位に浮上。年末の平和島グランプリ出場は決定的となった。

 偉大なる師への敬意、家族への愛情、ファンへの感謝。白井の走りには全てが詰まっていた。スタートタイミングはコンマ00。「同県が相手だろうと純粋に勝ちたい気持ちを出して攻める」。優出インタビューで語った言葉通り、限界ギリギリの踏み込み。SG初制覇はこの瞬間、決まった。「スタートはほぼフルダッシュ。僕らしい勝ち方だと思う。支えてくれた人たち全員に感謝したい」。3日目5Rで落水し減点。だが諦めなかった。最後まで周囲に感謝し、真剣にレースと向き合った。

 白井がピットへ引き揚げると「エイジ!!」の大声が飛んだ。師匠・今村豊が駆け寄る。ボート界のレジェンドはびしょぬれの愛弟子を抱きしめて離さなかった。「やっとやってくれた。これでエイジも肩の荷が下りたと思う。僕は3周目から泣いていた」と涙ながらに語った。白井も「僕以上に喜んでくれてグッと来ました」と涙声。ついにかなった師弟の悲願。若松ボートレース場内全てが温かいムードに包まれた。

 SG初制覇への道のりは決して平たんではなかった。デビュー5年目、01年ダービーでSG初優出(5着)。順調にボートレーサーとしての階段を上り始めたがSG優勝戦では13連敗。“最もSGに近い男”と13年間、呼ばれ続けた。この称号にようやく別れを告げる。「やっと神様が味方してくれました」。

 この優勝で12年以来3回目のグランプリ出場は決定的。地元・下関のチャレンジCの出場権も手中に収めた。「まだ気持ちを緩めている場合ではない。とにかく体調管理をして集中して走る」。13年間、足踏みしていた男が新たなスタートを切った。

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