【新潟2歳S】ミュゼスルタン 強力末脚で直線抜いても抜かせない

[ 2014年8月27日 05:30 ]

末脚と闘争心が武器のミュゼスルタン

 夏の新潟開催も佳境に突入。今週末の新潟2歳Sは昨年ハープスター、イスラボニータがワンツーを決め、今春の桜花賞、皐月賞制覇へとつなげたレース。来春を占う意味でも重要な一戦だ。キングカメハメハ産駒のミュゼスルタンは、同じ舞台で新馬戦を勝ち上がり駒を進めてきた。強力な末脚と闘争心が武器。晩夏の越後路から、来春のクラシック戦線へと羽ばたくか注目だ。

【新潟2歳S】

 確かな素質を感じさせる勝ちっぷりだった。ミュゼスルタンのデビュー戦は、今回と同じ新潟外回りのマイル戦。好スタートを決めながら、速い馬を次々と前に行かせて、序盤は好位馬群の内で折り合った。4角から徐々に進出。直線は空いた最内を選択すると、残り400メートルでほとんど追うことなく先頭に立った。離れた外を伸びた2頭が一気に前に出ようとした残り200メートルで、柴田善がようやく右ステッキ。一瞬の加速でライバルを突き放し、1馬身1/4差を保ってゴール。最後は流す余裕があった。

 「外から“出し抜け”を食らった形。やられたと思ったけど、一瞬でグッと反応した。他馬に抜かれることが嫌な馬なんだ」。大江原師は直線の攻防をそう振り返った上で続けた。「エンジンが良くて心臓も強い。強い調教をしてもケロッとしている。前の馬を抜こうとする闘争心も凄い」。調教を担当する片山助手も「とにかく走りがきれい。力が余計なところに逃げない。無駄がないからパワーが全て推進力につながっている」とポテンシャルに舌を巻く。

 「このレースは乗り役時代に勝ったことがある」。騎手出身の大江原師は76年、まだオープン特別で行われていた新潟3歳S(当時)をトキノカタトラで制した。「沈むフットワークのいい馬だった。この馬(ミュゼスルタン)もそう。いい馬は沈むんだ。スピードに乗ると重心の低い走りになる」と往時を懐かしむ。一方、調教師としては4度挑んで未勝利。07年には1番人気タケミカヅチで6着に敗れた苦い経験もある。「どんな競馬をするか楽しみ。今から負ける気はしない」。自身を鼓舞するように強気の言葉で締めくくった指揮官。思い入れのあるレースで、タケミカヅチ(09年ダービー卿CT)以来の重賞2勝目を狙う。

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