【名人戦】54歳井川、13年ぶりG1優出で初戴冠

[ 2012年4月30日 06:00 ]

<名人戦>レース後、笑顔でガッツポーズをする井川

 54歳の春、うれしいG1初Vだ。ボートレース下関G1「第13回名人戦」の優勝戦が29日、12Rで行われた。井川正人(長崎)が2コースからまくりを決めて名人戦初優勝。54歳5カ月でのG1初Vは、06年当大会で優勝した万谷章(当時62歳)に次ぐ高齢でのG1ウイナーの仲間入り。長崎支部からの名人誕生は初。来年3月に平和島で開催される総理大臣杯の出場権も手に入れた。

 「夢心地です。自分は本当に3周回ったのかな?」。激闘をくぐり抜け、2コースからの強まくりで第13回名人に輝いた井川が満面の笑みで記憶をたどった。

 想像を上回る激しいコース取りだった。西島の前付けを阻止するためエンジンを噴かした山室だったが、無理と判断してコースを放棄。「3コースで仕方がないと思っていたが、好きな2コースになれた」。予定外の2コースが転がり込んできた井川は一心不乱にスタートを踏み込み、まくりを放った。「コース取りのことばかり考えていたので緊張はなかった。スタートは自分の勘を信じて行った。あとは1Mだけを見て回った」と振り返った。

 「ずっとエンジンが出なかったが、回転を抑える方向でペラを叩いたらトルク感が出るようになった」と3月の当地準優勝をきっかけにリズムアップ。今回も「徐々に差は縮まってきたが、3日目あたりまではお化けだったよ」とエンジンは違っても快速パワーは健在。持ちペラ制度は終わるが「方向性は分かった」と自信ありげだ。

 99年の尼崎周年以来となる2度目のG1優出での大金星。今年の獲得賞金を1798万円とし、最短でチャレンジC、そして来年3月の総理杯出場権利を獲得。どちらにしても最年長でSG初出場を迎えることになる。「今まで脇から見上げる立場だったが、これからは下手なレースはできんね。頑張るだけです」と名人の称号を全身で受け止めた。
 
 ◆井川 正人(いかわ・まさと)1957年(昭32)12月24日生まれの54歳。長崎支部所属の47期生として80年に大村でデビュー。初優勝は85年2月の若松一般戦。通算成績は7054戦1497勝。V30回、G1は2回目の優出で初優勝。1メートル59、50キロ。血液型B。

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