【有馬記念】ブエナ泰然自若 秋3走目も疲れなし

[ 2011年12月19日 06:00 ]

<有馬記念>薄闇の中、坂路を軽快に駆け上がるブエナビスタ

 11年の中央競馬開催も残り2日。25日のG1有馬記念に向けて、ブエナビスタは栗東で日曜追い。1F15秒程度の時計で坂路を流したが引き締まった馬体で順調な調整ぶりをうかがわせた。

 ブエナビスタの現役生活最後の1週間が始まった。ラストランを7日後に控えたこの日は開門直後の午前4時に坂路入り。気温はわずか2度。冷たい風が吹き付ける中でも、凜(りん)とした雰囲気を漂わせる。4F65秒4~1F15秒1。前日に速めの時計を出しており軽めの調整だが、それでも存在感は際立っていた。

 「順調。変わらんよ。今回はまずは無事に走り終えることが一番。そりゃあファンのことを思えば勝ってほしいけどな」

 頬を真っ赤に染めた松田博師が淡々と口を開いた。ファン投票では3冠馬オルフェーヴル、ドバイWCの覇者ヴィクトワールピサなどを抑え、2年連続の1位。昨年の宝塚記念から数えれば「グランプリ4戦連続」となるトップ当選を果たした。

 「いつもの有馬記念なら1頭や2頭は有力馬が欠けるもんやけど、今年は強い馬がそろったわな。3冠馬もいるし。その中で選んでもらったわけやからうれしいよ。引退式にもたくさんのファンが来てくれるんやろうな」

 3年以上にわたって声援を送り続けてくれたファンへ、感謝の思いが尽きることはない。とはいえ大一番に向けて指揮官が思案するのは「愛馬をいかにいい状態で送り出すか」の1点だけだ。

 この秋は放牧先から太め残りで帰厩したため調整が遅れた。本調子になかった初戦の天皇賞・秋は4着。しかし「体が締まって」グンと良くなったJCでは中団インから鋭く伸びて快勝した。能力面の衰えは一切感じられない。あえて気になる材料を挙げるなら“秋2走の激走疲れがないか”という点だが、指揮官はその可能性を笑顔で否定する。

 「そりゃあ若いうちはガムシャラに走るから疲れも残るけどベテランになればほっときゃいいのさ。もうレースが近いんだと馬も分かってる。野球選手の自主トレと一緒で勝手に体をつくるさ」

 特別なことは何も必要ない。いつも通りであれば大丈夫。2011年を、そして己の競走馬人生を、ブエナビスタが鮮やかに締めくくる。

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2011年12月19日のニュース