ブルボンの再現!!キャプテン逃走V/皐月賞

[ 2008年4月21日 06:00 ]

キャプテントゥーレの川田はゴール後、いたわるように首筋に手をやる

 芦毛のニューヒーローが誕生した。「第68回皐月賞」は、7番人気のキャプテントゥーレが鮮やかな逃げ切りV。鞍上の川田将雅(ゆうが)騎手(22)は、デビュー5年目でG1初制覇を飾った。2着は6番人気のタケミカヅチ。1番人気に支持されたマイネルチャールズは3着に敗れ、マイネル軍団22頭目の皐月賞挑戦は実らなかった。

【GIパネル


 先頭のまま迎えた直線残り200メートル。川田はキャプテントゥーレの馬上でターフビジョンに視線を向けた。後続集団との差はまだ4馬身以上ある。手綱から伝わる感触には、まだまだ余裕があった。
 「勝てる」
 優勝を確信した川田の耳にライバル勢の蹄音は最後まで聞こえなかった。スタートから1度も先頭を譲ることなくゴールへ。G1初制覇がクラシックという快挙を達成した22歳の若武者は、直後にキャプテンの首筋をポンと叩くと、左の拳を力強く握りしめて喜びを表現した。
 「行く馬がいなければ自分が行く」。描いていた青写真通りにハナを奪った川田キャプテンは、気持ちよさそうに後続17頭を従えて向正面を進み、4角では迷わず追い出しに入った。「切れる脚は使えないから、後ろは気にせず先にセーフティーリードを奪うつもりだった」。大胆かつ計算ずくの騎乗。レースを見守った森師も「川田君には“(後続を)待っていたらやられるぞ”という話はした。4角で全く後ろを振り返らずに追い出したね。あれが勝因だろう」と鞍上の好判断を絶賛した。
 前走・弥生賞から18キロの体重減だったが「パドックでまたがった雰囲気が凄く良かったので数字は気にならなかった」と川田。まさに究極の仕上げだった。弥生賞は好位4番手で外を回らされる展開で4着。「前をつかまえられそうで、つかまえられない馬。僕が下手に乗ってしまった」。教訓を生かしての見事な逃げ切りV。「何もかもがうまくいった。本当に気持ちよかった」と鞍上はしてやったりの表情を浮かべた。
 皐月賞の逃げ切りVは92年ミホノブルボン以来16年ぶり。2着タケミカヅチにつけた2馬身1/2の着差も全く同じだ。当時、ブルボンを育てた戸山為夫元調教師(故人)に調教助手として師事していた森師は「あの時と馬場状態も似ていた」と、快挙再現を感慨深げに振り返った。
 次はもちろんダービー(6月1日、東京)。川田は「ゴールに入った後も止まる感じは全くなかった。あの感じなら、あと2F頑張ってくれそう」と2冠制覇へ自信をのぞかせた。ミホノブルボンは距離不安の声をよそに、ダービーで着差を4馬身に広げて楽々と逃げ切った。スピード血統のキャプテンが距離延長をどう克服するか。鞍上と調教師の手腕に注目だ。

 ▼キャプテントゥーレ 父アグネスタキオン 母エアトゥーレ(母の父トニービン)牡3歳 栗東・森厩舎所属 馬主・社台レースホース 生産者・北海道千歳市社台ファーム 戦績7戦3勝 総獲得賞金2億262万8000円 主な勝ち鞍はデイリー杯2歳S、皐月賞。

 ▼川田 将雅(かわだ・ゆうが)1985年(昭60)10月15日、佐賀県生まれの22歳。04年にデビュー。06年小倉大賞典(メジロマイヤー)で重賞初勝利。JRA通算189勝、重賞7勝。父・孝好氏(51)は佐賀競馬の現役調教師。1メートル58、48キロ。血液型B。

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