「ブギウギ」怒濤の展開 趣里と水上恒司の芝居が生む現実味

[ 2024年1月26日 08:58 ]

連続テレビ小説「ブギウギ」の愛助(水上恒司)とスズ子(趣里)の一場面(C)NHK
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 【牧 元一の孤人焦点】1月26日放送のNHK連続テレビ小説「ブギウギ」第81回で、主人公の歌手・福来スズ子(趣里)が妊娠中、作曲家・羽鳥善一(草なぎ剛)が企画するジャズ・ミュージカル「ジャズカルメン」に主演する流れとなった。

 制作統括の福岡利武氏は「怒濤の展開です。愛助(水上恒司)は病気が再発して大阪に帰る。スズ子は愛助との最後の時間を過ごす。愛助の子供を授かったことを知る。そこに『ジャズカルメン』の話が持ち上がる。スズ子は歌手を続けることは決めたが出産か歌かで迷う。エピソードは多めですが、さまざまなことに翻弄されながら前向きに進んでいくところがスズ子の魅力なので、それを描ければいいと思いました」と話す。

 この「怒濤の展開」は史実に近い。実際、スズ子のモデルとなった歌手の笠置シヅ子さんは終戦後、独身で妊娠中に「ジャズカルメン」に主演している。「事実は小説より奇なり」という言葉もあるように、笠置さんの濃密な人生そのものがこの朝ドラを盛り上げていると言える。

 福岡氏は「笠置さんのことを調べると、戦後の怒濤の展開が本当に凄いと感じます。あのような状況でちゃんと舞台に立って、見る人を魅了し続けた笠置さんは素晴らしい。ドラマをつくっていく作業は、描く人物の人生が濃密でも濃密ではなくても難しいものですが、今回のような展開はなかなかゼロからは思いつかないものだと思います」と語る。

 ともすれば現実離れしていると思われそうな「怒濤の展開」に現実味を与えるのは、演じる役者の芝居の質だ。例えば、スズ子が大阪に戻る愛助と最後の時間を過ごす箱根旅行のシーン(1月25日放送の第80回)では、趣里と水上恒司は見る人の心を甘く切なくさせる希有な空間を生み出した。

 福岡氏は「あのシーンは余呉湖(滋賀県長浜市)の湖畔で撮影しました。天気も景色も良く静かで、趣里さんと水上さんはリラックスしてロケを楽しんでいました。2人の共演ももう長いので息もぴったりで、愛情たっぷりの良いシーンを撮ることができました。あれがスズ子と愛助の最後の幸せな時間なので、象徴的、印象的に描けていたとすればうれしいです」と話す。

 あのシーンでスズ子と愛助は互いにカメラで写真を撮り合っていた。

 福岡氏は「2人の幸せな時間を表したあの写真は今後も大事なアイテムになります」と語る。

 怒濤の展開はここから加速度を増していく。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) スポーツニッポン新聞社編集局文化社会部専門委員。テレビやラジオ、音楽、釣りなどを担当。

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