「らんまん」最終盤突入 晩年を演じる神木隆之介と浜辺美波の老け具合

[ 2023年9月18日 09:00 ]

連続テレビ小説「らんまん」の寿恵子(浜辺美波)と万太郎(神木隆之介)(C)NHK
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 【牧 元一の孤人焦点】NHK連続テレビ小説「らんまん」でチーフ演出を務める渡邊良雄氏がインタビューに応じ、物語最終盤に臨んだ神木隆之介(30)と浜辺美波(23)について語った。

 ──万太郎と寿恵子の晩年を演じる神木さんと浜辺さんはどんな感じですか?
 「これまでの演出の経験から、役者さんをあまり老けさせてしまうのは得策ではないと思っています。若い役者さんを無理に老けさせようとすると、たいてい違和感が先行して時にはコントのように見えてしまうこともあります。老化の表現を誇張するとウソっぽく見えてしまうんです。最初に神木くん、浜辺さんと話し合いをして、そうならないようにしました」

 ──老けメークはどんな感じですか?
 「特殊メークは使っていません。ただ、髪の毛に白いものを入れるだけでは足りないので、例えばファンデーションを艶のないものにしたり、シミみたいなものを入れたりはしています。目元に薄いラテックスをつけてドライヤーで熱を与えると張り付きます。張り付くと突っ張るので、ちょっと笑ったり顔をゆがましたりすると細かいシワができます。そのくらいですが、十分に年を取っている人に見えると思います」

 ──晩年を演じる神木さんと浜辺さんに何か注文したことはありますか?
 「最初に、声のトーンを下げテンポを遅くした方がいいという話はしました。例えば座っていて立ち上がろうとする時、若い頃のようには立てないかもしれない。ただ、年を取ったように見せるために2人の芝居を制限することは避けたかったんです。だから、ひとつひとつの芝居に対していちいち言うのではなく、見ていておかしいと思った時に言うくらいです。神木くんも浜辺さんも自ずと分かっていてくれました」

 ──神木さんと浜辺さんは最近になって映画「ゴジラ-1.0」(11月3日公開)での共演が発表されました。
 「『らんまん』のキャスティングは『ゴジラ』の撮影後だったので知っていました。2人は既に映画『屍人荘の殺人』で共演していましたが、さらに共演したことがプラスに働くだろうと思い、正直、ラッキーだと思いました。役者として2人の相性が良いことは間違いないです。現場で神木くんは浜辺さんがどんなコンディションで臨んでいるのかというところまで考えている感じがします。一緒に長く撮影していても苦にならない関係性が2人にあるのだと思います」

 ──今回の朝ドラで長く神木さんと浜辺さんを演出して、いま感じるのはどんなことですか?
 「この2人で本当に良かったと思います。この2人以外はあり得なかった。神木くんが万太郎を演じてくれたこと、浜辺さんが寿恵子を演じてくれたこと、そのそれぞれもそうですが、この2人が物語後半で夫婦として作品を積み上げていって今に至っているのは奇跡的なことだと思います。2人がこの作品で夫婦を演じてくれたのは僕らからすれば最高のことです」

 ──改めて2人の芝居の良さを教えてください。
 「役の理解度が半端ない。子役時代から経験を積んでいる方々なので余計にそうなのだと思います。この時この状況でこの役はどうあるべきなのかということをちゃんと把握してくれている。僕らが1から説明しなくても分かっている。芝居を積み上げ始めるところが低くない。最終的にアウトプットする時に高いところに出せる。演出する側としてクリエーティブになりきれるところがあります」

 ──万太郎と寿恵子の今後の見どころを教えてください。
 「関東大震災があって社会情勢が大きく変わり、2人の意識も変容します。2人はもう一歩先に進まなくてはいけない。そこからいよいよ、終の棲家となる大泉に転居する話になります」

 ──史実としては、万太郎のモデルとなった植物学者・牧野富太郎さんより先に、寿恵子のモデルとなった壽衛さんが亡くなっています。
 「ドラマ文法的に何が正しいのかということに関してはいろいろな考え方があります。ここから先の物語をぜひご覧いただきたいと思います」

 万太郎と寿恵子は果たして植物図鑑完成で喜びを分かち合えるのか…。迫りつつある最終回まで目が離せない。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局総合コンテンツ部専門委員。テレビやラジオ、映画、音楽などを担当。

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