佐藤浩市 「どうする家康」で2年連続大河出演 「みなさんを良い意味で裏切りたい」

[ 2023年8月27日 09:15 ]

大河ドラマ「どうする家康」で真田昌幸を演じる佐藤浩市(C)NHK
Photo By 提供写真

 【牧 元一の孤人焦点】俳優の佐藤浩市(62)が27日からNHK大河ドラマ「どうする家康」に真田昌幸役で出演する。昨年の「鎌倉殿の13人」から2年連続で大河に出演した理由や役への思いなどを聞いた。

 ──出演依頼を受けた時の率直な感想をお聞かせください。
 「え、またやんの?2年連続はないと言っていたじゃん!?なんだよおい、腰が弱いなNHK!!(笑)」

 ──出演を決めた要因は何ですか?
 「潤(松本潤)をずいぶん前から知っているので応援したいという気持ちですかね。彼はうちにもしょっちゅう来ているので、家族ぐるみで知っていて、息子も小さい時から知っています。どうしても、この狭い国の中で、ましてや芸事の世界で人間関係というものがあるわけじゃないですか。そういう中で『手伝ってください』と頼まれたら『分かったよ』ということですよね。半分本気半分冗談で『微力ながら、そんなに長いスパンじゃなければお手伝いさせてください』とお引き受けしました」

 ──真田昌幸をどのように演じようと思いましたか?
 「松本・家康に対して、ということを含め、それなりのインパクトを持つシーンを僕が作るということが、彼が喜ぶことであると思っています。これまでの芹沢鴨(2014年の大河「新選組!」)や上総介(昨年の大河「鎌倉殿の13人」)のように押しの強さがある人物とはちょっと違うスタンスで、『表裏比興(ひょうりひきょう)』と言われる真田昌幸らしさをぐっと押し出したいと思いました。どれだけ大河ファンを良い意味で裏切れるかと考えてやっています。それは松本・家康も十分に感じてくれているんじゃないかと思います」

 ──良い意味で裏切るというのは具体的にどういうことですか?
 「真田昌幸という人物に、どのように深さを与えるかということです。僕がこれまでやった大河のキャラクターは押しの強さがありながらどこか心の弱さやもろさがあって、それを見る側が受け取って感情移入してくれました。芹沢鴨なんて普通にやったらただの悪役ですからね。でも、たまたま僕と三谷幸喜氏が見ていた映画『新選組』(1969年)で三国連太郎がやっていた芹沢鴨にはどこか人間的な弱さやもろさがあったので、三谷氏と『そういう部分をより強く出そう』という話をして、あの芹沢鴨が出来上がったわけです。その延長線上に上総介もいて、はいつくばるようにして文字を書くような、押しの強さとは背反する人物像を出しました。今回何ができるかは、台本を先の方まで読んでいないので、今はまだ分からないという部分がありますが」

 ──「鎌倉殿の13人」で上総介がはいつくばるようにして文字を書く場面は佐藤さんご自身のアイデアだったそうですね?
 「あれは棟方志功(昭和の時代に活躍した版画家)っぽく書くことで、その人の何かが見えるという考えでやりました。しかし、今回は、真田昌幸という人物を、底が見えないように、底が見えないことも芝居として表さないようにする場合、そういうところを出さない方が良いような気もします」

 ──収録現場の松本潤さんはどんな印象ですか?
 「大変だと思います。正直言って、1年半も同じ役をやる役者の気持ちがとても理解できない(笑)。僕は若い頃から飽きっぽいんですよ。昔は大作映画だと撮影に3カ月くらいかかかる場合もありましたが、そのくらいが限界かな。僕が理解できないことをやるという点で、偉いな、と思うしかない。ましてや座長として扇の要になって周りを引っ張るためにはメンタルの強さが必要で、きついだろうな、と思います。ただ、それによって得るものがあるでしょうし、1年半やり切ったということは彼の勲章になると思います。先日、彼と一緒に芝居を見に行く機会がありましたが、疲れ切っている様子はなくて、これなら大丈夫だ、と思いました」

 ──2作連続の大河の現場の印象はどうですか?
 「大河というより、時代劇そのものの形が少しずつ様変わりしていることを感じます。僕が最初に時代劇をやった頃には考えられなかったことを今はやるようになっている。本来ならば揺るがないところ、良い意味でコンサバティブなところが揺れている。そうすることで、現代の家族や夫婦に一脈通じるものを作ったりしている。三谷氏の『鎌倉殿』もそうだったけれど、そうであるはずがないというものをやる面白さがある。今は時代劇が二極化していて、その舵をどう切るかはこれからの問題だし、お客さんの判断で変わってくると思います」

 ──そのことを役者としてどう考えますか?
 「テレビというものが元々、そういう媒体なんですよね。より伝えやすくするにはどうしたらいいのかと考えた場合、そうすることがあってもいいと思います。かといって、僕らがリバイバルで見た、内田吐夢監督や小林正樹監督が作ったような時代劇も正統派として残った方がいい。両極があればいいんじゃないですかね。どちらかに走ってしまうのは良くない。お客さんもそのことを分かった上で、針を振らしながら見るのがこれからの時代劇のあり方かもしれません。僕ら役者も柔軟な形で対応できるようにしていきたいと思います」

 ──今後の昌幸の展開についてはどう考えていますか?
 「面白みのある台本を作っていただけたらうれしいですし、何か極端なことをやらせてもらえればうれしいです」

 ──最後に読者へのメッセージをお願いします。
 「みなさんが思う以上に良い意味で裏切りたいと思っています。ドラマの中で昌幸がどう闊歩するか、ご期待ください」

 27日の放送でどのような登場の仕方をするのか。まずはそれが楽しみだ。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局総合コンテンツ部専門委員。テレビやラジオ、映画、音楽などを担当。

続きを表示

「美脚」特集記事

「STARTO ENTERTAINMENT」特集記事

2023年8月27日のニュース