二宮愛 初めての生歌 届く言葉

[ 2023年6月14日 08:21 ]

「colors」のステージで歌う二宮愛
Photo By 提供写真

 【牧 元一の孤人焦点】この人の生の歌声を聞きたいとずっと思っていた。一昨年春にYouTubeの動画でカーペンターズ「遙かなる影」のカバーを聴いた時からだから既に2年になる。それがついに実現した。

 シンガー・ソングライターの二宮愛(33)が、10日に東京・有明のTFTホール500で開催された邦楽カバーライブ「Colors」に出演した。

 ライブには二宮のほか、spi、MARU、クリス・ハート(ゲスト)が出演。関係者はこの催しについて「カバーブームが続く中、30代以上の音楽好きの方々に向けて本格派シンガーを集めたライブを開きたいと考えた。アーティストそれぞれの声を『色』とするなら、それらを集めた時に『Colors』になるのではないかというのがライブ名の由来」と説明した。

 二宮は2020年6月に自身のYouTubeチャンネルを開設し、洋楽と邦楽を次々とカバー。現在ではチャンネル登録者数が約23万人に及ぶ人気を得ているが、これまで東京で生の歌声を聴く機会がなかった。

 ライブは二部構成で、二宮は第一部で宇多田ヒカル「Automatic」、LiSA「炎」、玉置浩二「メロディー」など、第二部で椎名林檎「丸の内サディスティック」、サザンオールスターズ「TUNAMI」、aiko「カブトムシ」などを歌った。

 本物──。それが生の歌声を初めて耳にした時の率直な感想だ。誰かのライブを聴きに行くと、事前の期待に届かない印象を受けることがあるが、二宮愛はまさに期待通りという意味での本物。特に、聴く人の心をわしづかみにするような「Automatic」、歌詞のひとつひとつを浮かび上がらせるような「メロディー」の歌唱にひかれた。

 楽屋に二宮を訪ね、少しだけ話を聞いた。

 ──ステージはいかがでしたか?
 「初めてのことなので心配な面もありました。でも、共演者がみんなフレンドリーで、初対面なのに距離感が近かった。歌を通じて結びつくものがあったのかな…。温かいステージになりました」

 ──「Automatic」が二宮さんらしく熱い感じになっていて胸に響きました。
 「リハーサルの時、バンドにテンポを下げてもらったんです。オリジナルよりほんの少しだけテンポを下げると、よりソウルフルな感じになります」

 ──生歌を初めて聴いて感じたのは、「歌詞」「言葉」がこちらにしっかり届くということです。
 「Colorsは、オリジナルの曲が元々あって、それに自分の色を加えてみなさんに届けようというライブです。私が自分の色を加えるとなると、やはり、楽曲の風景や主人公の気持ちをちゃんとみなさんに届けようというところに行き着きます。それが私のカラー、私のオリジナリティーだと思うので、歌詞を伝えることはとても重視しています」

 ──特に「メロディー」は歌の中の「言葉」が伝わって来て心に染みました。
 「正直、歌手として玉置浩二さんの歌を超えることはできないと思っています。玉置さんの歌唱レベルは超えられないけれど、私だったらどうすれば人を感動させられるのだろうと考えました。『メロディー』は泣ける歌詞、泣けるストーリーを持っています。だから、私がストーリーテラーとしてそれを伝えれば良いのではないかと思いました。音程がどうかということではなく、伝えることを重視しました」

 ──この催しの次回以降はいかがですか?
 「今回は手探り状態でした。これからもっと色濃くなると思いますし、色が増えると思います」

 今回は邦楽だったが、二宮の歌の凄みが際立つクイーン「ボヘミアン・ラプソディ」やセリーヌ・ディオン「マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン」などの洋楽もいつか生で聴きたい。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局総合コンテンツ部専門委員。テレビやラジオ、映画、音楽などを担当。

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