役者生活70周年の仲代達矢 12月で90歳も「生きてる間は頑張りたい」と役者業続行を宣言

[ 2022年8月12日 18:33 ]

日本記者クラブで会見した仲代達矢
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 役者生活70周年を迎えた俳優の仲代達矢(89)が12日、東京・内幸町の日本記者クラブで記者会見した。9月4日から石川・能登演劇堂で70周年記念の主演舞台「いのちぼうにふろう物語」が上演。「これで引退するかもしれないし、もう1本やりたいとスケベ根性を出すかもしれない」と笑った。

 「いのち…」は江戸時代の悪党たちの心の再生を描く作品で、山本周五郎氏の小説が原作。脚本に仕上げたのは、1996年に亡くなった仲代の妻・宮崎恭子さん(作家名・隆巴)。97年に追悼公演として上演し、今回は2004年以来、18年ぶりの再々演となる。「彼女との共同作業のつもりで今、稽古に取り組んでおります」と語った。

 1952年の俳優座養成所入所から歩み始めた役者人生。70年を「まあ、よく闘った人生だと思う」と振り返った。「正直言ってここまで続けてこられるとは、全然思っておりませんでした。ひとつには、さほどの大病を患うことがなかったこと。そしてもうひとつは、あえて言葉にしてみると、若い頃にたたき込まれた新劇の精神、これがいくらか影響してるかもしれません」と語った。あくまでも舞台をベースにしながら、映画にも数多く出演。小林正樹、黒澤明両監督ら多くの名監督との出会いもあり、映像でも活躍した。

 ライフワークとなったのが、75年に宮崎さんと夫婦で立ち上げた演劇塾「無名塾」。もともと自身は立ち上げに反対だったが、役者とコーチの二刀流で続けてきた。「80歳を過ぎて現役だと名優扱いされるけど、年を取るとともに役者の能力は落ちていく。声がパーンと張ってたのに、よれよれになっていく」と語り、「私が育てた若者たちは私よりうまくなって、私は10倍くらい努力しないとやっていけない。それが生きる目的になっている」と明かした。

 12月13日に卒寿を迎える。若い頃の「青春」と対比させて、宮崎さんは70歳を過ぎてからの人生を「赤秋(せきしゅう)」と呼んだ。「もう少しで終わりだけど真っ赤に燃えて頑張ろう」という意味だ。「そろそろ冬。現役はやめて、冬眠の時代」とおどけながら、「人間は生まれて生きて、あの世にいく。私もそろそろだと思ってますが、生きてる間は頑張りたい」。燃え尽きるまで演じる。

 15日の終戦記念日を前に、会見前には「平和」と揮毫(きごう)した。戦争経験者として現代社会を憂い、「私は絶対に、戦争反対と言いながら死んでいきます」と語った。

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2022年8月12日のニュース