藤井竜王 勝者のコスプレ初体験!さすがの読み「動物か鉄道」幼少期の憧れ車掌制服姿で笑顔

[ 2022年1月12日 05:30 ]

天竜浜名湖鉄道の掛川駅で車両を背に車掌姿で笑顔を見せる藤井竜王。なぜか車両には掛川市のマスコットの茶のみやきんじろうが…(撮影・西尾大助、会津智海)
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 第71期ALSOK杯王将戦7番勝負(主催・スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社)第1局を制した藤井聡太竜王(19)=王位、叡王、棋聖含め4冠=が勝利から一夜明けた11日、対局の舞台となった静岡県掛川市にある天竜浜名湖鉄道の掛川駅を訪れた。駅舎で乗務員用の上着と帽子を借り、王将戦恒例「勝者の記念撮影」を初体験。鉄道ファンで知られる藤井は、事前に撮影内容は聞かされていなかったが「動物か鉄道と思った」とさすがの読み筋を披露した。

 45度の前傾姿勢から、鋭い眼光を飛ばした前夜とは別人の笑顔があった。幼少期、祖母と近所の踏切で待ち焦がれた電車は将棋より前に夢中になった。

 「予想外ではなかった。動物か鉄道と思っていました」。恐るべし、史上最年少4冠。スポニチ本紙の依頼を2択まで絞っていた。

 対戦相手、渡辺明王将(37)=名人、棋王含め3冠=が昨年、同じ掛川で行った撮影を覚えていた。掛川花鳥園へ立ち寄り「コガネメキシコインコ」の大歓迎を受けた。

 もう一つの候補が、ファンを公言する鉄道。昨夏、北海道旭川市での王位戦第2局は旭川空港ではなく、新千歳空港からJR千歳線と函館本線を乗り継いで会場入り。この日、駅員用上着と帽子をかぶっての記念撮影に「(制服を着るのは)初めて。これまではいつも見る側だった。浜名湖を走るとよい景色だと知っているのでまた乗ってみたい」。撮影目的だったため、湖畔を巡る乗車はかなわなかったがつかの間の休息を楽しんだ。

 7番勝負の最中にも重要対局はやってくる。13日はB級1組順位戦がある。千田翔太七段(27)との対局で、勝てば昇級の可能性が出てくる。

 現在8勝1敗で13人中トップ。昇級は2枠で、3位の3敗・千田と稲葉陽八段(33)が敗れると2局を残して今春開幕のA級入りを果たす。10人が総当たりで名人挑戦権を争うA級。谷川浩司九段(59)が持つ最年少名人記録21歳2カ月の更新へ、最初で最後のチャンスとなる来春7番勝負を目指す戦いに参入できる。

 「A級へいって初めて挑戦者争いができる。まずはしっかり昇級を目指したい」。昇級が有力視される現状にも浮つかず「ここまでのスコアは意識することではない。体調を整えて臨みたい」と足元を見つめた。

 100手を超えてなお自陣を整備し合った名局での勝利に、学びの種はあった。「途中、残り時間は多かったのに時間、形勢を損ねた。渡辺王将の強さ、こちらの課題を感じた」。後手番になる22、23日、大阪府高槻市での第2局へ向け「(渡辺の)作戦を受ける側になる。しっかり準備して臨みたい」。2日制タイトル戦は過去18勝3敗の渡辺。先勝の手応えはまだ不確かだが、5冠へGO!といきたい。

 ▽天竜浜名湖鉄道 掛川駅から湖西市の新所原駅に至る67.7キロの路線。前身となる旧国鉄の二俣線から引き継ぎ87年開業。駅数は39の全線単線。自然の美しい風景が楽しめる。プラットホームや橋梁(きょうりょう)を含む全鉄道施設が国の登録有形文化財。天竜二俣駅が映画「シン・エヴァンゲリオン劇場版」(21年)に登場する「第3村」のモデルになるなどロケ地に度々登場。

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