史上最長試合は1912年レスリングの11時間40分

[ 2021年8月1日 05:30 ]

伊沢拓司
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 【クイズ王・伊沢拓司の五輪の書(9)】柔道は全階級の日程を終え、日本勢が史上最多となる9個の金メダルを獲得しました。中でも時間制限のないゴールデンスコア(延長戦)で決着した試合が多く、スタミナが躍進の要因だと言えるでしょう。特に女子70キロ級の準決勝で新井千鶴選手がタイマゾワ選手(ロシアオリンピック委員会)と繰り広げた16分41秒に及ぶ激闘は息をのむ展開でした。

 五輪史上最長の試合は何かご存じでしょうか?1912年ストックホルム大会のレスリングで、なんと11時間40分です。

 当時、レスリングには時間制限がありませんでした。ミドル級の準決勝で、フィンランドの選手と死闘を繰り広げたロシアの選手が勝利。しかし、体力を使い果たして決勝に出場できず、不戦敗で金メダルを逃してしまったのです。この半日に及ぶ試合はレスリング史上最長試合としてギネス記録に認定されています。

 そもそも古代オリンピックにおける格闘技は“時間無制限1本勝負”、勝敗が決するまで行われるものでした。近代五輪のレスリングもこれを踏襲したのですが、数時間に及ぶ死闘が増えたことで、後に制限が設けられ、試合方式も変わったのです。

 今大会の柔道は軽い反則だけで勝負が決まることもなく、そういう意味で大きく原点回帰したルールでした。長期戦でも攻め続けた日本勢の意気に感じて、古代のオリンピアンたちが力をくれたのかも…?

 ◇伊沢 拓司(いざわ・たくし)1994年(平6)5月16日生まれ、埼玉県出身の27歳。東大経済学部卒。開成高時代に全国高校クイズ選手権で史上初の個人2連覇。TBS「東大王」で人気に。19年、株式会社QuizKnockを設立しCEOに就任。

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2021年8月1日のニュース