「エール」志村けんさん最後の出演 番組感謝 土屋CP「小山田先生は生きています」最終週まで“登場”

[ 2020年10月1日 08:15 ]

連続テレビ小説「エール」第79話。日本作曲界の重鎮・小山田を演じた志村けんさん。この日が最後に出演となった(C)NHK
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 今年3月29日に新型コロナウイルスによる肺炎のため亡くなったコメディアンの志村けんさん(享年70)が1日に放送されたNHK連続テレビ小説「エール」(月~土曜前8・00、土曜は1週間振り返り)第79話に登場。これが最後の出演となった。この日、番組公式ツイッターで「裕一が幼き頃から憧れ続けた、偉大な作曲家・小山田を演じた志村さん。この日が最後の登場となりました。ありがとうございました」と発表された。志村さんは朝ドラはもちろん、最初で最後のドラマ出演。主人公・古山裕一(窪田正孝)に大きな影響を与える日本作曲界の重鎮・小山田耕三を演じた。

 志村さんは第73話(9月23日)以来、6話ぶり10回目の出演(回想を除く)。NHKによると、この日放送されたシーンの収録は3月上旬に行われた。志村さんの演技が見られるのはこれが最後で“生前最後の演技”。制作統括の土屋勝裕チーフプロデューサーは「志村けんさんの登場は今日の放送回で最後ですが、小山田先生は『エール』劇中で生きています。最終週まで登場する予定なので、是非、最後まで楽しみに視聴していただきたいです」。志村さんの姿はなくとも、小山田は「エール」の世界の中に生き続け、今後も裕一との“師弟関係”が描かれることになる。

 俳優の窪田正孝(32)が主演を務める朝ドラ通算102作目。男性主演は2014年後期「マッサン」の玉山鉄二(40)以来、約6年ぶり。モデルは全国高等学校野球選手権大会の歌「栄冠は君に輝く」などで知られ、昭和の音楽史を代表する作曲家・古関裕而(こせき・ゆうじ)氏(1909―1989)と、妻で歌手としても活躍した金子(きんこ)氏。昭和という激動の時代を舞台に、人々の心に寄り添う曲の数々を生み出した作曲家・古山裕一(窪田)と妻・関内音(二階堂ふみ)の夫婦愛を描く。

 第79話は、音(二階堂)は妹・梅(森七菜)に、どうして歌を歌える機会を生かさないのかと言われ、自分には向いていないと敬遠していた音楽挺身隊に参加。軍需工場や戦時産業に関わる施設への慰問を通じ、戦意高揚に務める役割を担う音楽挺身隊を率いる人物こそ、小山田(志村さん)だった。志村さんの登場シーンは冒頭、タイトルバックの前に約1分。短い出番ながら、いつもながらの存在感を示した。

 (※以下、ネタバレ有)

 <小山田の部屋>

 秘書・猿橋(川島潤哉)「失礼します」

 小山田「はい」

 秘書「明日は13時より慰問公演。15時より演奏家協会の定例会議。その後、坂梨大佐と会食となっております」

 小山田「(頷く)」

 秘書「こちらは新たに参加した音楽挺身隊員の名簿です」

 小山田「どれ。(名簿に目を落とし)古山音…」

 秘書「古山裕一氏の奥さまだそうです」

 小山田「…(怪訝な表情)」

 第6弾まで制作・放送されたNHKのコント番組「となりのシムラ」や「志村けん in 探偵佐平 60歳」で志村さんとタッグを組んだ「エール」のチーフ演出・吉田照幸監督(50)は「これまでドラマ出演を断ってきた志村さんから『監督なら』と言われたことを今でも思い出します。その席で、志村さんに『笑いで行くか、芝居で行くか』とお尋ねしました。せっかく出るなら、今までと違う方がいいと言われました。小山田耕三に関しては、一切の笑いを入れず、演出的にもよりドラマ的な映像にしています」とこわだり。「『エール』のテーマは、文字通りエールですが、小山田のエールは裕一の成長を促す障害であり、実際は彼の才能を一番理解していた人物として捉えていました」と解釈を明かしている。

 現状は“ヒール役”の小山田と裕一の“師弟関係”が最終週までにどのように描かれるのか。ドラマ全体の大きなカギを握りそうだ。

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