三谷幸喜氏“新様式舞台”パルコで開演「僕らが先陣」 コロナ禍で延期「大地」3密避け台本変更

[ 2020年7月2日 05:30 ]

公開稽古であいさつをする三谷幸喜氏
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 脚本家の三谷幸喜氏(58)が手掛ける舞台「大地」(8月8日まで)が1日、東京・渋谷のPARCO(パルコ)劇場で初日を迎えた。新型コロナウイルス感染拡大が広がる中、主要劇場では初となる観客を入れての上演。本番前の公開稽古で三谷氏は「また芝居ができる状態に戻りたいと思っていまして、僕らがその先陣を切ることになりました」と語った。

 銅鑼(どら)が鳴り響いて物語は開幕。現代演劇の始まりとして位置づけられる1924年にオープンした築地小劇場で取り入れられていた演出。そこには三谷氏の“再スタート”への思いが込められた。

 当初は6月20日が初日だったが10日間延期。台本に手を加え、3密を避けた「ソーシャル・ディスタンシング・バージョン」と題して上演された。出演者は十分に距離を取って演技。大泉洋(47)と竜星涼(27)によるけんかのシーンは、取っ組み合いではなく枕を投げる演出に変更された。三谷氏は「接近しないでどうやってけんかをするのか。それも見どころの一つ」とアピール。通常複数回行われるカーテンコールも1回のみで、終演時には三谷氏による「拍手をしても無駄です。速やかにお帰りください」のアナウンスが流れ、笑いを誘った。

 物語では、架空国家で“演じる”ことを禁じられた俳優たちを描く。偶然にも現在の演劇界と重なる内容に「本を考えて書いたのは去年なんですけども何という先見の明だろうか」とジョークも。「なんだかんだみんな演じるのは好きなんだ」など、現実の世界の状況を連想させるようなせりふも飛び出した。

 本公演を皮切りに同劇場では「ショーガール」(7月27日~8月7日)、「其礼成心中」(8月13~20日)と3作連続で三谷作品が上演される。劇場空間で再び三谷旋風が巻き起こる。

 ≪客席50%販売、ライブ配信も≫同劇場は2016年8月から建て替えのため休館していたが、今年1月にお披露目。当初は3月から来年5月にかけて全14作のオープニング・シリーズを予定していたが、3月20~30日に上演された「ピサロ」以来、公演がストップしていた。この日初日を迎えた「大地」では、当初の56公演から45公演に。チケットも全636席の客席のうち50%以下の販売とし、最大318席となった。代わりにイープラスのライブ配信サービス「Streaming+」で10公演のライブ配信が行われる。

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