沢尻被告“やっぱり薬物使っていた”…LSD紙片押収、起訴決め手に

[ 2019年12月7日 06:00 ]

沢尻エリカ被告
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 合成麻薬MDMAなどを所持したとして東京地検は6日、女優の沢尻エリカ容疑者(33)を麻薬取締法違反罪で起訴した。沢尻被告は保釈保証金500万円を納付し同日夜、勾留先の警視庁東京湾岸署から保釈された。自宅からは合成麻薬LSDが押収されていたこともこの日、判明。MDMAと合わせて所持罪に問われた。沢尻被告がこれらを使用していたこともスポニチ本紙の取材で分かった。

 沢尻被告の自宅からは、新たに合成麻薬LSDを染みこませた複数の紙片が押収されていた。これについて、沢尻被告は元恋人のファッションデザイナー、NAOKIこと横川直樹容疑者(38)から約1カ月前のクラブイベントでMDMAを預かったときに「一緒にもらったもの」と供述。東京地検はこのLSDについても所持罪で起訴した。

 さらに本紙の取材では、沢尻被告は押収された薬物について「クラブイベントで使ったものの残りです」と話していることが分かった。逮捕時の簡易尿検査は陰性だったが、実は約1カ月の間に違法薬物を使用していたということになる。

 これが意味するところは何か。刑事事件に詳しい亀井正貴弁護士は「元々あったMDMA計0・198グラムだけでも起訴相当の量だった。供述からはどちらを使ったかは分からないが“いずれ使用の目的があって違法薬物を所持していた”と立証するメドが立ったことが、起訴に大きく影響した」と解説する。

 沢尻被告は「長年にわたってMDMAだけでなくLSDやコカイン、大麻を使った」と供述していたが、薬物の使用時期を明確に特定できる尿検査では、どの薬物の陽性反応も出なかった。このためNHK大河ドラマ「麒麟がくる」の撮影に入った6月以降「クスリ断ち」をしていたとの見方も浮上していた。

 またMDMAの所持について「横川容疑者から預かった」と供述しており、常習性がないなどの有利な材料を弁護団が立証すれば、起訴猶予となる可能性もあった。

 しかし新たにLSDが押収されたことに加え、具体的な使用時期を特定できる供述を得たことで、東京地裁は依存性と常習性、親和性があると裏付けた。断続的な使用だった可能性があるとはいえ、これが起訴の意向を固める決め手の一つになったとみられる。

 亀井氏は「今回、単独所持で起訴したということは、沢尻被告自身の薬物使用に関する捜査は終結しているとみていい。今後の関心は入手ルートへと移っていくのではないか」とみている。

 ≪LSD使用…過去には≫LSDの使用を巡っては1989年に人気ロックバンドのギタリスト、01年に人気俳優の息子で自身も芸能界で活動していた俳優が逮捕されている。LSDは米国で1960年代後半に若者の間で起こった、社会からの隔絶と自由を訴える「フラワームーブメント」を機に大衆に広がり、アップル社の創業者スティーブ・ジョブズ氏が「LSD体験は人生で最も貴重な経験のひとつ」と話すなど乱用が社会問題化。特にクラブシーンでは、幻覚作用、興奮作用が増すMDMAとの併用が定着。心臓に負担の大きいMDMAの乱用で死亡するケースも多発している。

 ▼LSD 「カミ」「アシッド」「L」などの俗称で呼ばれる。麦につくカビの一種から分離した精神異常発現物質で「リゼルグ酸ジエチルアミド」の略。強い幻覚作用があり景色がゆがんだり色彩が豊かに見える。逆に恐怖や悲嘆を感じる効果などが報告されている。ペーパータイプ(溶液を染み込ませた紙)や角砂糖に溶液を染み込ませての服用が一般的。使用による直接の死亡例はないが、幻覚による転落死などの事故が続発。自我を正常に制御しがたくなるほか、長期使用により心臓弁疾患を引き起こす可能性が極めて高いという研究結果もある。

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