5年後には

[ 2019年11月14日 07:30 ]

 【我満晴朗 こう見えても新人類】東京オリンピックの陸上マラソン・競歩開催が札幌に変更された。「これって札幌五輪だよね」という声を何度か聴いたが、夏季五輪の分散開催そのものは特に珍しくない。現実にサッカーは競技の性質上、巨大なスタジアムを複数用意しなければならないから、メイン都市とはあさっての方向で実施するのが常態化している。

 1996年のアトランタ大会(米国ジョージア州)の男子サッカーで日本がブラジルを破ったのは皆さんご存じの通りフロリダ州マイアミだった。だからファンの間では「アトランタの奇跡」ではなく「マイアミの奇跡」として知られている。当時、アトランタ市内で水泳の原稿を書きまくっていた筆者にとっては、金星の一報を聞いてもどこか遠い場所での出来事、といった感があった。

 ちなみに男子サッカーの決勝は同じジョージア州内でもアトランタから100キロ以上離れたアセンズで行われた。どこがアトランタ五輪じゃい! と勝手にツッコミを入れていたら、アセンズ(Athens)はギリシャの首都の英語表記と気づき「これってアテネ五輪だよね」という意図の原稿を書いた覚えがある。デスクの反応はひたすら冷たかったけれども。

 さて札幌の話。「7、8月に北半球で夏季五輪を開催するのは今後難しくなるのでは」という小池都知事の指摘には今更ながら同調したい。近年の異常気象が通常気象?となってしまうなら、4年後のパリ大会(フランス)だってマラソン系は困難だ。なにしろ今年7月下旬には40度を超えていたのだから。

 …といった論争が彼の地でもわき起こっているのだろうと調べたら、全く別件で興味深いニュースを発見した。東京五輪で初採用され、パリ大会でも追加実施が決まったサーフィンの開催地候補として、タヒチの名が上がっているという。

 えっ? タヒチって、あのタヒチ?

 そう、あのタヒチだ。

 ゴーギャンとタヒチ80ぐらいしかイメージが全く浮かばない。追加検索してみるとサーフィンの国際大会が開催される「チョーブー」というビーチが有名だとか。なるほどね……。

 それにしても、だ。一応、タヒチはフランス領ポリネシアだから「パリ五輪」にとっては「国内開催」という錦の御旗が成立する。でも両者の距離は約1万6000キロもあるんですよ。なんだかなあ。

 やっぱりパリ五輪の代表選手に選ばれたからには、せめてエッフェル塔くらい見たいというのが人情じゃないか。オリンピックも大きくなりすぎて大変だ。(専門委員)

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2019年11月14日のニュース