「集団左遷」小手伸也が不気味な存在感「ギリギリを狙いたい」個性的キャラゆえの苦労「NG出しづらい」

[ 2019年6月2日 09:00 ]

小手伸也インタビュー(上)

日曜劇場「集団左遷!!」にレギュラー出演、存在感を発揮している小手伸也(C)TBS
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 40代に入ってブレイクした“シンデレラおじさん”こと俳優の小手伸也(45)がTBS「集団左遷!!」(日曜後9・00)で日曜劇場に初出演。出番は多くないものの、存在感を示している。ドラマは第7話(2日放送)から舞台を本部に移した第2章に突入。終盤に向け、主人公の前に立ちはだかるエリート銀行員を演じる小手に役作りや撮影の舞台裏を聞いた。

 歌手で俳優の福山雅治(50)が主演を務める“平成最後にして令和最初”の日曜劇場。作家・江波戸哲夫氏の「新装版 銀行支店長」「集団左遷」(講談社文庫)を原作に、行員をリストラから救った三友銀行・蒲田支店の支店長から本部の融資部部付部長に異動した片岡(福山)と、人事担当の常務取締役から専務に昇格した横山(三上博史)によるバトルがさらに熱を帯びる。

 小手が演じるのは、飛ぶ鳥を落とす勢いで出世した検査部次長・鮫島正義。第1話(4月21日)は蒲田支店への「臨店」(各支店の融資状況が正しいかチェックする検査)を行ったが、第2章は横山専務の“右腕”として片岡の行く手を阻む。

 「この作品の登場人物たちは、熱意や信条、野望など、感情の部分がいろいろと分かりやすかったりします。視聴者の皆さんが感情移入しやすい人物が多い中、鮫島は何を考えているのか分からないような人の方が良いのではないかと思いました。福山さん演じる片岡の最大の敵は情にほだされない部分があるはずで、そのあたりが何かしらのアクセントになるのではないかと。敵として、どういう人物が片岡にとって手強いかと考えた時に“感情を消してみよう”というプランを思い付きました」と役作りについて明かす。

 特に第1話(4月21日)は冷徹さが際立ち、ロボットのような不気味さだった。化粧室ですれ違った片岡に「(横山常務に)余計なことをするなと言われませんでした、か?」「あなたが頑張ってところで、ここ(蒲田支店)は救えません、よ」。語尾に一瞬、間が空くセリフ回しだった。

 「監督からは『もう少し押しを強く!』とか『アクを強く!』とか結構注文がありまして、それでセリフの語尾に変な間が空いたと思います。視聴者の皆さんが感情移入しにくい点においては、有効かと。特に打ち合わせがあったわけではありませんが、僕のイメージと制作サイドの求めているものが何となく、あのようなセリフ回しで結合したんだと思います」と振り返った。

 「いつも、どんな作品でも『ギリギリの線を狙いたい』という思いがあるので、僕が演じるキャラクターは現場のスタッフさんたちがよくマネをして遊んでいます。そういう役なので、NGは出しづらい。あのキャラでセリフを噛んでしまうと、築き上げたものが途端に崩壊するので、極力NGは出さないようにするという苦労はあります」と苦笑いして打ち明けた。

 番組公式サイトの役柄説明によると、鮫島は「大学時代は演劇部に所属しており、名脇役として学生演劇界では有名だったらしい」。早稲田大学時代に演劇サークルに所属していた小手に“アテ書き”したような設定だが「僕も寝耳に水。僕としては、柔道とか空手とか、体育会系の武道をやっているような背筋の伸びた男を想定して臨んでいたのですが、ある日、サイトをのぞいたら、まさかの演劇部で。鮫島じゃなく小手の設定じゃないか?と思いました。僕としては設定を生かしているつもりはないですが、演劇部出身で、あの淡々としたキャラクターだとしたら、それはそれで面白いですよね。意外と家に帰ったら、めっちゃしゃべるギャップがあったりして」と笑った。

 2016年のNHK大河ドラマ「真田丸」で注目され、18年は4月期「コンフィデンスマンJP」、10月期「SUITS/スーツ」と立て続けにフジテレビ“月9”ドラマに登場。放送中のNHK連続テレビ小説「なつぞら」にもアニメの作画監督役で抜擢され、各局看板枠への出演を次々に果たした。

 「もちろん、以前から日曜劇場にも出たいと思っていました。出たいと言うのは簡単ですが、まさかこんなに早いタイミングで出していただけるとは思ってもいませんでした。当初のオファーの感じだと、ここまで(第2話以外)毎回出るとは思っていなかったので、いつの間にかこのポジションを頂いて、ちょっと心の準備が追い付いていない感じです」と驚き。第2章も小手がドラマに加えるスパイスに期待したい。

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2019年6月2日のニュース