佐藤浩市 フクシマ絶対に忘れてはいけない 原発事故の真相迫る主演映画撮了

[ 2019年4月18日 05:30 ]

クランクアップ会見を行った渡辺謙(左)と佐藤浩市
Photo By スポニチ

 俳優の佐藤浩市(58)と渡辺謙(59)が17日、都内で映画「Fukushima50 フクシマフィフティ」(監督若松節朗、2020年公開)のクランクアップ会見を行った。2011年の東日本大震災で起きた福島第1原発事故の真実に迫る作品。主演の佐藤は現場で指揮を執った当直長の伊崎利夫役、渡辺は所長の吉田昌郎氏を実名で演じた。

 今月9日に約4カ月の撮影を終えたばかりの佐藤は「人間には忘れなければ生きていけないことと、絶対に忘れてはいけないことがある。この映画は間違いなく後者。我々がメッセンジャーとして、この事象をどう刻むのかを大事に進めていった」と説明。さらに「まだ8年か、もう8年かは人それぞれで違う。五輪イヤーに公開されることで、どうやって前を向くのかを、自分も含めて皆さんに考えていただきたい」と訴えた。

 一方の渡辺は、定期的に被災地を訪れるなど被災者と寄り添ってきただけに「僕たちの子供、孫たちの世代の社会にとって、検証し伝える材料にしてほしい」と力説。佐藤とは13年の映画「許されざる者」以来の共演。「全幅の信頼を寄せ、それを頼りに吉田を演じた」と称えた。

 撮影に当たり、事故当時、現場にいた作業員から話を聞き役作りをした。

 2人の表情は終始硬かった。佐藤の「これだけ笑顔の少ない会見は初めて。妙な緊張感があった」という締めの言葉に、作品に懸けた思いが凝縮されていた。

 《作業員評した呼称「Fukushima50」》フクシマフィフティとは「原発内で顔も名前も分からないFukushima50が戦っている」(ニューヨーク・タイムズ)など、欧米のメディアが全電源喪失という事態で原発内に残り続けた作業員たちを評し、全世界に広まった呼称。映画は、関係者90人以上に取材したノンフィクション「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発」(角川文庫)を原作としている。

続きを表示

2019年4月18日のニュース