【釣りバカ日誌】2代目ハマちゃん・濱田岳が閉塞ニッポンを明るく

[ 2015年10月23日 11:30 ]

「釣りバカ日誌~新入社員 浜崎伝助~」でコンビを組む濱田岳(左)と西田敏行(C)テレビ東京

 国民的シリーズ映画を連続ドラマ化するテレビ東京「釣りバカ日誌~新入社員 浜崎伝助~」(金曜後8・00)は23日、2時間スペシャルでスタート。ドラマ・映画「HERO」やKDDI(au)のCM「三太郎シリーズ」でも知られ、主演を務める若手きっての実力派・濱田岳(27)が愛されキャラぶりをいかんなく発揮する。

 原作は1979年から「ビッグコミックオリジナル」(小学館)で連載されている作・やまさき十三氏、画・北見けんいち氏による同名漫画。映画は西田敏行(67)が“ハマちゃん”こと浜崎(はまさき)伝助、故三國連太郎さんが“スーさん”こと鈴木建設の鈴木一之助社長を演じ、1988~2009年に22作が公開された。

 今回の連ドラは映画を手掛けた松竹も制作に加わり、スクリーンで中年サラリーマンだったハマちゃんの新入社員時代を描く。映画でハマちゃんを演じた西田がスーさんに転じる“仰天”配役も話題。

 初回は、面接で釣りの話ばかりしてしまった伝助(濱田)は100社以上の中から1社だけ奇跡的に入社試験を突破。大手ゼネコンの鈴木建設に就職した。半年間の研修期間を終え、課長・佐々木和男(吹越満)率いる営業3課に配属される。ある日、昼休みに河川敷で釣り糸を垂らしていた伝助は、初老の男性と知り合う。寂しそうな様子を見た伝助は男性を釣りに誘い、一方的に連絡先を伝える…という展開。

 脚本は「三匹のおっさん~正義の味方、見参!!~」「モンスターペアレント」などの佐藤久美子氏、「マジすか学園」「仮面ティーチャー」などの山岡潤平氏。

 原作「釣りバカ日誌番外編 新入社員 浜崎伝助」は1971年(昭46)の入社試験から描かれるが、ドラマは2020年の東京五輪へ向け、建設需要が高まる15年に設定を変更。これが奏功している。

 誰とでも分け隔てなく、気さくに自分らしく振る舞うハマちゃんは見ていて非常に気持ちがいい。ストレートな言動も憎めないのは、濱田の人物造形の素晴らしさ。ハマちゃんの人間くささが、とかくコミュニケーションが難しくなった現代へのメッセージだとしたら、深読みしすぎか。どこか窮屈な閉塞感のある社会を明るく照らすと言ったら、大袈裟か。

 第1話のゲスト・武田鉄矢(66)演じる定年間近の営業3課係長・朝本信一郎が“釣り嫌い”という設定が絶妙。最悪の出会いからケンカするほど仲がいいの典型だが、ハマちゃんと将来の妻・小林みち子(広瀬アリス)の掛け合いをはじめ、各登場人物とのやり取りが楽しい。

 演出は「釣りバカ日誌14 お遍路大パニック!」(03)から「釣りバカ日誌20 ファイナル」(09年)と映画版7作を手掛けた朝原雄三監督をはじめ、児玉宜久氏、石川勝己氏。肩肘張らないコメディーに徹し、見る側に元気を与える。

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2015年10月23日のニュース