「ミリオンダラー・アーム」モデル代理人 マー君絶賛「最高」

[ 2014年10月2日 08:30 ]

映画「ミリオンダラー・アーム」のモデルになったスポーツエージェント、J.B.バーンスタイン氏(C)2014 Disney Enterprise,Inc.All Rights Reserved.

 失業危機の崖っぷちからインド初のメジャーリーガーを発掘したスポーツエージェントの奇跡の実話を基にした米映画「ミリオンダラー・アーム」(監督クレイグ・ギレスピー)が4日から全国ロードショーされる。主人公のモデルになったのはJ.B.バーンスタイン氏(46)。大リーグ歴代1位の762本塁打を誇るバリー・ボンズ氏(50)らを担当した“敏腕代理人”がヤンキースの田中将大投手(25)を絶賛した。

 今年、海を渡ったマー君。右肘の内側側副じん帯部分断裂のため故障者リスト(DL)入りしたが、9月21日(日本時間22日)にニューヨークで行われたブルージェイズ戦に先発。75日ぶりに復帰し、5回1/3を5安打1失点と好投。13勝目(4敗)を挙げた。

 もちろんバーンスタイン氏はマー君の存在を知っている。

 「私はヤンキースのファンだから偏見かもしれないが、私は田中投手にゾッコンです。これだけの技量を持った投手は久々に見ました。あらゆる面で素晴らしい投手ですね。今年は途中で負傷してしまいましたが、それまでの間の投球は明らかに大リーグ全体でも最高の部類でした。私が見たことのある中でも最高の投手の1人で、素晴らしい才能の持ち主だと思います。ヤンキースファンとしても、ただ野球のファンとしても、一生に1度、出会えるかどうかというレベルの才能だと思っています」と称賛の嵐はやまなかった。

 映画は、ライバル会社にアメリカンフットボールの有望選手を横取りされ、キャリアの危機に陥ったバーンスタイン(ジョン・ハム)が起死回生の一手を打つところから始まる。それは、野球不毛の地インドの国民的スポーツ「クリケット」が野球に似ていることをヒントに、クリケット選手の中から隠れた豪速球投手を発掘、メジャーリーガーにするという奇策だった。

 早速インドに渡ったバーンスタイン。地元テレビ局と組み「ミリオンダラー・アーム」(100万ドルの剛腕)という番組を企画。インド全土を回り、コンテスト形式のリアリティーショーを実施した。数千人に及ぶトライアウトの末、2人の18歳の青年が選ばれた。1人は独特のフラミンゴ投法を駆使する左腕リンク・シン(スラージ・シャマル)。1人は粗削りながら130キロ台後半の速球を投げる右腕ディネシュ・パテル(マドゥル・ミッタル)。バーンスタインは2人を連れ、米国に戻る。しかし、野球未経験の“絶対的なハンデ”や文化の違いが壁に。メジャーリーグ入団テストへの道は険しく、次々に問題が起こるのだった…。 

 バーンスタイン氏を演じるのは、1960年代のニューヨークの広告業界を活写するテレビシリーズ「MAD MEN マッドメン」に主演した米俳優ジョン・ハム(43)。2008年、ゴールデングローブ賞主演男優賞(テレビシリーズ部門)に選ばれるなど、ブレーク。今回が記念すべき映画初主演作となった。

 メガホンを執ったのは「ラースと、その彼女」(07年)「フライトナイト/恐怖の夜」(11年)の俊英、豪出身のクレイグ・ギレスピー監督(46)。「オールド・ルーキー」(02年)などの良質なスポーツ実話映画を手掛けてきたメイヘム・ピクチャーズとウォルト・ディズニーがタッグを組んだ。

 自らが発掘したインド人青年との出会いから、主人公は仕事の取り組み方が変わる。あまり野球に詳しくない人も十二分に楽しめる「人間ドラマ」に仕上がっている。インドで主人公のアシスタントを買って出るお調子者・アミト(ピトバッシュ)や老獪な元スカウトマンのレイ(アラン・アーキン)ら魅力的な脇役がユーモラス。アクセントになる笑いをもたらした。

 ◆J.B.バーンスタイン 1968年2月5日、米ニューヨーク生まれの46歳。マサチューセッツ大学アマースト校を卒業後、広告会社勤務などを経て、スポーツエージェントとして独立。大リーグ歴代1位の762本塁打を誇るバリー・ボンズ、NFLライオンズで名ランニングバックとして活躍したバリー・サンダースら一流選手のマーケティングを担当。現在は家族とともにラスベガスに在住。

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