高畑充希 ヘレン・ケラー役挑戦!難役こなす秘けつは“まっさん”?

[ 2014年9月28日 11:03 ]

舞台「奇跡の人」で主演のヘレン・ケラー役を務める高畑充希

 女優の高畑充希(22)が、来月上演の舞台「奇跡の人」(スポーツニッポン新聞社主催)で、三重苦を抱える少女、ヘレン・ケラーを演じる。今年、人気を集めたNHK連続テレビ小説「ごちそうさん」では、ほとんどしゃべらない内向的な女性の演技が話題を呼んだが、今作は「しゃべれない」という役柄。難役をばっちりこなす秘けつを探ると、奇遇にも浮上したのは、次期朝ドラのタイトルだった。

 「ごちそうさん」に続いて大人気となった「花子とアン」からバトンを受け、29日からスタートする朝ドラといえば「マッサン」だ。もちろん、舞台「奇跡の人」を控えた高畑は出演していない。それでも朝ドラで世間の注目を浴びた女優だけに、切っても切れない縁があるのか。

 舞台は聴力、視力、言葉を失った実在の人物が家庭教師サリヴァン(木南晴夏)と三重苦を克服する姿を描く。「しゃべりたくてもしゃべれないという経験はしたことがない。そこが、朝ドラで演じた役との一番の違いですね」。どう克服するのか聞くと、「“ま”わりの空気を読まないこと」、さらに「は“っさん”(発散)すること」の2つを挙げた。合わせて“まっさん”だ。

 その真意やいかに。“ま”についてはこう語った。「普通の人間が舞台に立っている時、例えば空気が緊張してるシーンだったら、極力動かないようにしたりとか、意識しなくても巻き込まれる。でも、ヘレンは三重苦を抱えている。周囲に左右されないことを心がけてます」。なるほど。

 もともと空気読みはうまい方だ。大皿に料理が1つ残ったときは「食べます。よっぽど初対面だったら別だけど、どうせ誰かが食べなきゃいけないし」。一方で「あえて距離を縮めたい時とか、周りがあまりに凄い人ばかりの時は、萎縮しないよう、あえて気を使わないということも」。見た目そのままのクールさが役作りに生きている。

 一方の“っさん”はどうか。「今回、稽古以外の時間は、とにかく人にいっぱい会って発散してます。題材的にも、コメディーというわけじゃない。一から作って考えているので、頭が筋肉痛になりそう(笑い)。どんどん硬くなる気がして、オフは仕事の話は一切しません」という。

 ヘレン・ケラーは難しい題材だ。そもそも世界的に有名な伝記。誰もが筋書きを知っている。そんな中で、セリフもなしに、世にも珍しい、わがままで暴れん坊、しかも三重苦の人物をリアルに演じなければならない。ただ、そこはさすが。舞台稽古では、格闘技さながらの取っ組み合いなど、生傷を負いながらヘレンの狂気と成長を体全体で表現している。

 思えば、「ごちそうさん」で演じた主人公の義妹・西門希子は、万華鏡のようなキャラだった。最初は無口。その後、特技の歌で人々を魅了。成長し、アナウンサーになってからも、人が違ったような成長を遂げる。これを一人で演じきった。

 意外にも「今まで積み重ねてきた引き出しが使えないタイプ」という。とは言いながら、哲学は積み重ねてきた。「昔はお芝居が上手になりたいと思ったけど今は思わない。役者は上手になればなるほど、つまらなくなったりする」。一言一句が聞き取りやすかったり、セリフに合った表情ができるのも大事だが、「ヘタだけど、不思議と印象に残るってことがあるじゃないですか」と力説する。この哲学を地でいったのが、朝ドラの演技だった。

 「大スターは1つの引き出しで済むかもしれないけど、私は役ごとに引き出しを作っては捨ててます」と笑う。そんな愚直さが、見る人の心を捉えるのかも。三重苦もものともしない「女優・高畑充希」の真の魅力は、やはり「マッサン」よりも「ごちそうさん」にあり!

 ◆高畑 充希(たかはた・みつき)1991年(平 3)12月14日、大阪府生まれ。 中学2年生だった05年、ホリプ ロが45周年を記念し主催した「山口百恵トリビュート・ミュージカル」主演に、9621人の  中から選ばれ女優デビュー。歌手としても活躍。代表作はミュージカル「ピーターパン」など。

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