[ 2010年10月16日 06:00 ]

リヒャルト・シュトラウスのサウンドを見事に構築してみせた指揮者のウルフ・シルマー

 確かに作品そのものの筋立てが21世紀に生きる私には、ピンと来ない部分は多々ありました。アラベッラが親の望むウィーン貴族ではなく富裕な外国人と結婚するという自立した精神。そして父も母も娘も結婚に命がけになっているという家族の姿も現代ではイメージしにくいものといえるでしょう。だからこそ、幻想的なまるで一晩のはかない夢であるかのようなアルローのステージングは、私にとって救いとなったように思われるのです。

加えて、舞台背景の一部となっている役者たちの演技によって喜劇的な要素が前面に押し出されていたため、「借金に追われる生活も玉の輿に乗ってハッピーエンド!」という軽快なストーリーとこの作品の魅力である“ウィーン気質”を存分に楽しませてくれることにつながりました。

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2010年10月16日のニュース